第3話 事件とエルフ

「おはよう。昨日は東京に行ってきたの?」


教室に入ると、あみが俺に話しかけてきた。

クラスで俺に話しかけるのは彼女だけだ。

原因は分かっている。

俺が友達を作らないからなのだけど。

窓際の後ろの席に座ると、俺はあみに話しかけた。


「俺みたいな陰キャとか相手にしなくていいんだぞ?あみは意外と人気あるみたいだからな」


あみは目を丸くして


「意外と、って何よ失礼しちゃうわね。自分の事、陰キャって言わなくてもいいと思うけど・・そういえば、ニュース見た?」


「何かあったか?」


「何でも・・見たこと無い人たちが、街中に突然現れたっていう・・」


昨日からバタバタしてたので、テレビ見てなかったな。

カモミールとか留守番させるのに大変だったし。


「へえ~そうなんだ?」


俺はスマホでニュースを検索した。

『街中に人が突然現れた?』という見出しが現れる。

もしかして、カモミールのような異世界人かもしれない。

世間的には信じられないとか、テレビネタじゃないのかとか書かれていた。

テレビもやらせ番組を作ったりするらしいし、疑われてもしょうがないだろう。


異世界人はどうやら警察に厄介になっているようだった。


「そういう扱いになるのか・・」


でも本当に異世界人だとすると、警察にされたとしても・・・?

数時間後、俺の予想が的中する事になった。

異世界人が逃げ出したのだ。

おそらく魔法を使えば容易だったのだろう。


「家に早く帰りなさい」


先生に言われ、授業は半日で終わりになった。

家に帰ったとして、身の安全が守れるのだろうか?

はなはだだ疑問ではある。

学校では責任が持てないという事なのだろう。


鞄を持って廊下を歩いていると、見たことのある銀髪が目の前を横切った。


「まさか・・・」


嫌な予感がして、俺は後を追いかける。

俺は彼女の肩を掴んだ。


「カモミール来ちゃ駄目じゃないか!」


「ごめん、ユウヤが何処にいるのか・・どうしても気になって来ちゃった」


「ほら、帰るぞ」


幸いにも、学校は終わりだし良かったけど。

他の生徒たちに気が付かれる前に帰るとしよう。

エルフは目立ちすぎるからな。



****



私は廊下を歩いていた。


「あれ女の子?何で裕也と歩いているの?」


目の前の裕也を見ていたら誰かと歩いている。

長い髪が見える、どうやら女の子のようだった。

黒髪ではない、見たことのない銀髪。


「あみ~行くよ~」


後ろから、友達の玲奈に声をかけられる。

ツインテールの髪と、可愛らしい声が特徴的だ。


「また松永君?気になるなら、行ってくればいいのに」


「・・・。」


「あれあれ?珍しく女子と一緒じゃない?邪魔してこないと」


「簡単に言うけど・・っておい?」


私は玲奈に右手を掴まれて、裕也のいる方向へ引っ張られていった。


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