第4話 将来不安
千足村への道すがら、谷山の話になった。
谷山が英語で高得点を取ったことを、洋一は信じられなかった。
「だけど、洋ちゃん。うちのクラスの谷山やって、近ごろ授業中、真剣だったで。家でもきょうだい仲良う勉強しとったんと違う?」
洋一の従弟の修司は、よく観察していた。
「あの二人、可哀そうやなあ。ワシは小学校5年の時、親父が死んだ。今でも、親父に怒られとる夢を見ることがあるで。まあ、悪さはした。けど、ワシがやってないことまで犯人にされた。親父が生きとったら、学校に怒鳴り込んでくるで」
隆は洋一の父親の葬式を思い出した。
村の衆が庭に集まり、土葬の準備をしていた。山仕事での事故死であり、突然の悲報に村人は茫然としていた。庭の隅で洋一と妹の和子が手をつないで作業を見守っていた。
「ひどい話やなあ。これから谷山は手が付けられんようになるで」
従弟の変化を見てきただけに、修司は谷山弟のことを心配した。
隆はずっと考え込んでいた。
「修ちゃん。今夜、家に寄ってええ? 勲叔父さんに相談したいことがあるんや」
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