ダンス
腰にまで伸びた美しい銀髪が彼女の頭上で輝く。
美しき髪の下ではまるで宝石のように碧と紅のオッドアイがこれまた輝いている。
そんなオッドアイに映るのはゼーア・アウトーレ。
つまりは僕である。
「ふふっ」
僕は今、多くの貴族たちが押しかけるパーティー会場に響く一流の奏者が奏でる極上の音と共に聖女たるノービア・ライスカーナとダンスを踊っていた。
僕たちが立つのはパーティー会場の中心であり、スポットライトが当たっているのも自分たちだけである。
「美しい……」
「一流の芸術家を呼ぶべきであったか」
「何と、絵になる二人なのか」
「……神よ」
既に周りの貴族たちは踊るの辞め、僕たち二人の踊りを感動と共に堪能している。
「……ふ、ふへ」
僕が見せた笑顔に対して、何処か慣れない笑みを浮かべるノービアたんも可愛い。
「え、えっと……」
ダンスに慣れないのか、たどたどしい足取りのノービアたんも可愛い。
「大丈夫です、私に合わせてくださせれば」
僕は今にも感動のあまり泣きそうになるのを我慢しながら、慣れない彼女をリードしてダンスを踊ってみせる。
「は、はひっ!」
体を強張らせながらもノービアたんは僕の動きについてきてくれる。
あぁ……僕の手に触れているノービアたんのお手て小さくてフニフニで可愛い!不安に揺れながらもこちらを信用してくれるノービアたんの瞳が可愛い!柔らかくて細くて綺麗なノービアたんの身体が可愛い!踊りに合わせて揺れる髪にチラ見するうなじ!僅かに香ってくるノービアたん天然の匂いはこの世界のありとあらゆる
というか、もう僕のすぐ目の前にある顔が完成され過ぎている!これが黄金比!お目目パッチリ、まつげが長い!唇はぷるぷるで艶やかな色に輝いているし、その美しい肌にはもう何もかもが吸い寄せられるっ!
見た目だけでも天才的なのに、その精神性まで頑張り屋さん!
一生懸命踊っている姿を見せられて、見せられて……ッ!僕はぁぁぁ!
もぉぉぉぉ、どうすればよいというのだぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」
「そろそろ、終わりますよ」
「……う、うん」
内心の動揺を隠しながら、僕はダンスを完璧にこなすと共にノービアたんをリードしていく。
演奏が止まると共に僕もその動きを止め、広々としたパーティー会場が音の余韻だけがただ響くだけの場となる。
「一曲、ありがとうございました」
余韻をたっぷり。
すべてが終わり、静寂に包まれる中で今一度ノービアたんの手を取ったまま片膝をついた僕はそのまま彼女の手の甲へと己の唇を落とす。
「ふへっ!?こ、こちらこそぉ!た、楽しかったです」
僕の言葉にノービアたんがこくこくと首を縦に振り終えると共に、この場にいるすべての者たちからの万雷の拍手が自分たち二人へと送られるのだった。
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