第18話 グランとみんな
怪我から4日が経ちグランはようやく歩けるようになるまで回復した。
「グランさん、だいぶ良くなりましたね。お帰りになってもらって大丈夫ですよ。ただギルドでのお仕事は控えてくださいね」
「フレイアさん、ありがとうございました。リースちゃんもお世話してくれてありがとうね。それで治療の料金についてなのですが?」
「治療の料金は必要ありませんよ。治療は
笑顔で言うフレイアにグランは料金を払おうとするが、フレイアは折れなかった。
「料金の件は分かりました。もし何か力が必要でしたらいつでも声を掛けてください」
そう言い残し4日間過ごした部屋を後にした。
孤児院から帰る前に心配をかけたキースやカレンに挨拶のために寄った。
カレンはグランを見ると駆け寄り抱きしめる。
キースは歩いてグランの近くまで来た。
「危ないことしないでって言ったでしょう! ボロボロになって帰って来て、心配したんだから……心配したんだからね!」
「あいつに勝つとはさすがだな」
「キースさんの弟分ですから当然です」
カレンに抱きしめられながらもグランは胸を張った。
「弟が勝っちまうと、兄貴の立つ瀬がないな」
キースがグランの頭を優しくなでる。
「あいつが子供じゃなければキースさんが勝ってましたよ。ワンパンです」
キースの勝利を疑ってもいないグランに、キースは笑みをこぼす。
その後グランがギルドに行くと、冒険者達はグランの回復に喜び、グランはもみくちゃにされた。
受付嬢が止めるまでそれは続き、グランはへとへとになる。
そんなグランに受付嬢はギルドマスター室に行ってほしいと頼んだ。
ギルドマスター室にはライルが待っており、グランの体に巻かれた包帯やまだ少し腫れている瞼などをみてライルは悲痛な顔をし、そして頭を下げる。
「すまなかったグラン。本来はギルドマスターである俺が対応しなければならなかった。俺が対応できなかったばかりにお前にこんな大怪我をさせてしまった」
グランはライルがギルドマスターであることに驚いていたが、頭を下げられ大変恐縮してしまった。
「あ、頭をあげて下さい。グレッグと戦ったのは俺がそうしたかったからです。ライルさんが動いてしまっていたら、敵討ちできなくて俺の心にしこりが残ってしまっていましたよ。それでグレッグはどうなりましたか?」
「あいつは他にも余罪があってな別の場所に運ばれたよ。もうここには帰ってこないから安心していい。カレンにも伝えておかないとな」
ライルとの話が終わり、再びグランが戻ってくると冒険者達はまたもみくちゃにし始める。
何人かにはすでにお酒がはいっていた。
場が収まらなかったため、受付嬢が今度復帰祝いをするという宣言をして、ようやく場は収まる。
グランはみんなにお礼を言いギルドを後にした。
家への帰り道、グランは皆が自分の回復を喜んでくれることに心が温かくなり、4日ぶりの我が家へと帰っていった。
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