春雨やせめて来て鳴けみそさざい

【読み】

はるさめやせめてきてなけみそさざい


【季語】

春雨〈春〉


【付記】

みそさざい(鷦鷯)――ミソサザイ科の小形の鳥。日本産の鳥では最小で、全長約10センチメートル。尾は短い。羽は焦茶色で暗黒色の細横紋がある地味な鳥。雄は美しい声でさえずる。クモや昆虫を主食とする。ヨーロッパからアジアにかけて広く分布し、日本では、冬は人家付近に、繁殖期の初夏には山地の渓流付近の森にすむ漂鳥。みそさんざい。たくみどり。しょうりょう。みそっちょ。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

(憂鬱な)春の雨が降る。せめてミソサザイが来て鳴いてくれ。


【付記】

わたしの地元では今春、異常に雨が降って気温が上がらない。さすがにうんざりしている。近くにヤナギ並木やその大木でもあれば良いのだが。


「みそさざい」は「つばくらめ」などと交換可能であろうか。わたしが前者を選んだのは、たまに珍しいものをよんで可能なかぎりマンネリを避けるためである。


さて、わたしはミソサザイにおよそ縁がない。どんな声を聞かせてくれるのであろう。生きているうちに一度は聞きたいと思う。コマドリなども。


なお、「みそさざい」は冬の季語のよし。


ちなみに、日本でもっとも小さい鳥はミソサザイかキクイタダキかといったところのようである。鳥類愛好家がいたら、どちらを最小と判断するだろうか。


【例歌】

窓にさす午後の日ざしに心うきて立ちいづる庭にみそさざい鳴く 若山牧水


【例句】

摺鉢も絵にかかれけり鷦鷯 もうがん

しぐるるや机に上る鷦鷯 宋屋そうおく

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