第2話

「え、何これ?」


私はメールを開いて通知を確認してみると、みんなに送られているであろうメールとは別に、私を名指ししているメールがあった。


『プレイヤー名 ルナ 様


どうも、私はあなた達が神と呼ぶ存在です。

信じても信じなくても好きにしていいですが、ルナ様は誰よりも早く、誰よりも短い時間でレベル1000の到達者になりました。


その為、あなたには先んじて情報を与えようと思います。

これより、世界はステージアップします。

世界の発展のために、地球の生物全員に"スキル"と"魔法"それに"ステータス"を授けます。

それに、魔物の湧き出す"ダンジョン"を造り出します。

この素材などを使って世界を発展させてもらおうと思います。


勿論、対価なんていりませんし、対価の払い方もありません。

到達者がいつまで経っても現れてくれないのでどうしようかと困っておりました。


ですが、あなたが誰よりも短いスパンで到達者に成りましたので、あなたにはこの、「リアルワールド・アナザー」のアバター、ルナをそのまま使えるようにして差し上げます。


称号【到達者】の効果の意味はこういうことです。

本当は抑止力として何人か現れるまでは待とうと思ってましたが、あなたの善性を確認して、あなたが居れば大丈夫と判断しました。


ちなみにですが、レベルは1に戻ります。


この長い文を簡潔に言えば、地球にダンジョンとスキルとステータスと魔法を実装します。

あなたはキャラクター名"ルナ"を使用可能ですが、レベルは1に戻ります。


レベルが戻りますがご安心を、ステータスやスキルはそのままなので、強さは変わらず強さの上限を上げた感じです。』


「…これって、つまり、ルナともっと居れるって、事…?」


私はそれだけが嬉しくて、他のことは目に入らなかった。

いや、目に入ってはいたけど、私が考えても仕方ないと思ったのだ。


あ、でも、急に現れたら困る人多いよね。

これの返信したら聞いてくれるかな。


「えっと…

『もし良ければ実装前に全世界に告知して欲しい。

時間的猶予を少し上げてくれると嬉しい。』

…返事、来るかな」


そのまま5秒くらい待っていると、返事が来た。

…早いな。


『なるほど、では告知は今すぐにでもするとして、一週間ほど時間を差し上げることにします。』


うん、多分短いだろうけど、後のことは偉い人が何とかするだろうし、気にするのはおしまい。


とりあえず、私はログアウトしようかな。

もしこの神様を名乗る人が本当に神様ならルナともっと一緒に居れるし、偽物なら仕方ない。


まぁこのあとすぐに告知するらしいし、今日一日待ってみようか。

どうやって告知するんだろう。




「つ、月菜〜!

ちょっと来て欲しいんだけど〜!」


ログアウトして、お母さんに慌てたように呼ばれた為、急ぎめに階段をおり、お母さんの所へ行く。

すると


「ルナ…いえ、月菜さん、こんにちは。」


「ッ、こ、こんにち、は。」


そこに居たのは、神様だった。

何言ってるの?と思うかもしれないけど、神様なのだ。

なぜわかるかと言われると、本能で理解した、としか言えない。


でも、物凄く神々しくて、自然と跪きたくなる、そんなオーラを纏っているのだ。

これが神じゃなかったらなんなのだろうか。


「あぁ、月菜さんも、お母さんも、そんなにかしこまらなくても大丈夫ですよ。

今回は月菜さんへのご褒美として、優先してステータスやスキルを適用しに来ただけですので。」


神様はにこりと笑うと、先程までのオーラは何事も無かったかのように消え去った。

そのまま、私に手を差し出して、握るように言ってくる。


恐れ多いが、手を差し出させたままなのも悪いため優しく握る。

すると、神様から何か力が流れ込んできた気がする。

あくまで直感でしかないけど…


「つ、月菜?

えっと…猫?」


「…!?

も、もしかして…!

少し、鏡を見に行ってくる。

神様…!」


私は、神様に一言断りを入れると、パタパタと急いで洗面台へと行く。


「…!!!

る、ルナ…!」


そう、まさにいつもゲーム内で見ていた姿そのままなのだ。

そう言えば、神様はスキルや魔法なども実装すると言っていたはず。


それなら、今、魔法が使えるのかな?

…浄化の魔法なら、大したことにならないよね。


「【クリーン】

…!?」


私が一言つぶやくと、少なくとも家の中の目に見える範囲全てピカピカになっていた。

…やらかしたかもしれない。


「つ、月菜!?

なんか、急に部屋がピカピカになったんだけど〜!?」


お母さんが取り乱したように叫んでいる。

これはやらかしたね。


「ふふ、世空奈菜よぞら ななさん、これは魔法です。

月菜さんが試しに使ってみたのでしょうね。」


「つ、月菜が…

それに、これが魔法、凄く便利なんですね…」


「…お母さん、それはこの【生活魔法】くらい。」


「あら?

その、【生活魔法】?以外はどうなの?」


「危険。」


「う、うーん。

どう危険なのか教えて欲しいのだけれど…」


「ふふ、代わりにわたしがお話しますと、月菜さんの言った通り、【生活魔法】は、文字通りの生活に使える魔法で、それ以外が、普通の人が思い浮かべるような戦闘に使う魔法です。

なので当然、殺傷力もありますし、扱いしだいでは凄い危険なんですよ。」


「…殺傷力…」


そんなことをにこにことしながら言う神様。

にこにこしながら怖いことを言う神様に少し引いたような反応を見せるお母さん。


私は、二人の会話を聴きながら自分の耳をもふもふしてみたり、二股のしっぽを好きなように動かしてみたりして遊んでいた。


神様、告知はいつからするんだろう。

みんながどんな反応するか、少し怖い。


「そろそろわたしはお暇しますね。

お邪魔しました。」


「神様、またね。」


にこ、と笑うと神様は突然目の前から消えた。

多分、【時空魔法】だと思う。

かなり強いから、私も好きな魔法。


それか、神様的なぱわーで、私の全く知らないものの可能性もある。

というより、その可能性の方が高いと思う。


そんな事を考えながらお母さんと一緒に部屋に戻ると、空にものすごく大きな音で雷が鳴った。

天気は快晴だった為、雷なんて落ちるわけが無いのに、雷がなった。


という事は、神様が告知をするんだろう。

注意を集めるために落雷を使うなんて…神様クォリティだね。


『皆さん、どうも。

リアルワールド・アナザーの作成者であり、あなた達人の子が神と呼ぶ存在です。

急ですけど、わたしの話を、聞いてくれますよね?


現在、世界は停滞しています。

世界を発展させるために、君たち人間の言う所の"ダンジョンやスキルを導入します"。

急すぎたら困るだろう、一週間だけ時間をあげますので、用意を済ませなさい。

ダンジョンを封鎖するのは許しません。

もし封鎖した国があれば、その国のダンジョンは"スタンピード"が起こります。』


聞いてくれますよね、の時に神様的な圧力を物凄く強められて、跪きたくなるかと思ったけど、私は全くならなかった。

なぜだろうか?


変わったことといえば、猫又になったことくらい…

いや、これか。

私が種族としての格が高いから、神様の圧力じゃ潰されはしなかったってことだね。


神様が消えて、重圧から開放されると、とりあえずテレビを付けてみることにした。

付けてみると、どこのチャンネルでも速報が流れていて、内容は全てさっきの神様のことについてだった。


あれを本当の神様だと思わずバカにしているチャンネルはひとつも無くて、皆がダンジョンやスキルが導入される事を信じている。


やっぱり、神様は一目見ると神様だと分かるんだね。

とりあえず、ダンジョンが出来たら入れたら嬉しいなぁ。

封鎖できないって言ってるし、入れるとは思うけど、すぐ入れるようになるかは分からないよね。


でも、ルナの力があれば大体はなんとかなる気がする。


「ねぇ、月菜。

月菜は、ダンジョンに行くの?」


「ん、行きたい。」


「…月菜が何かをやりたいって言うのは『リアルワールド・アナザー』以外ならこれだけだから、許したいんだけど…

ダンジョンなんて、危ないじゃない?」


「私は強いよ。

それこそ、多分誰にも負けないレベルには強いと思う。

それに、そんな物凄い強い相手が居る場所には行く気は無い。」


「…止めても多分、行くわよね?

それなら、うん。

頑張ってね!」


「…!

うん!ありがとう。」


許して貰えた…というよりも話しても無駄だと思われたのか、応援されたので、頑張ろうと思う。

とりあえず、力が本当にゲーム内と同じくらいあるのか、とか。

スキルが本当に使えるのか…これは魔法が使えたし大丈夫だと思うけど。


とりあえず、色々と確認をしたい。

なので、壊しても安心な世界に行こうと思う。


「お母さん、少し確認行ってくる。」


「え?

どこに行くの?」


「ん、亜空間。」


「あ、亜空間…??」


「【コピーワールド】。

【テレポート】」


私はとりあえず半径1kmくらいの距離をコピーし、複製した。

その複製した世界にテレポートして、ここで試そうと思う。


「…敵が欲しい。

【召喚術 アダマンタイトゴーレム】」


「〜〜〜〜!!」


私はとりあえずアダマンタイトゴーレムを呼び出して、戦闘相手にすることにする。

このモンスターは、ゴーレムの中でも最上位のモンスターで、レベルにすると900はある。


「さて、やってみよう。

【ファイアランス】【マルチマジック】【オーバーマジック】

発射。」


呼び出したゴーレム相手に、いつも使う攻撃を小手調べに撃ってみる。

【ファイアランス】は、よくある炎の槍を飛ばす魔法。

【マルチマジック】は、魔法を最大10個まで同時に使えるようにする補助魔法で、【オーバーマジック】は魔力を過剰に込めて、攻撃力を増やす魔法だ。


「〜〜〜〜ッ!?!?

〜〜〜!!!」


「おっと、うん、効いてるね。

神様、本当にステータスそのまま?

強くなってる気がする。」


「〜〜〜!!」


「あ、レーザー来る。

やば、少し逃げよ。」


流石に正面からこのモンスターの切り札的な技を防ぐのは厳しい。

猫又になっても猫人と同じで死にやすいのは変わらないし。


「ギギ…!

〜〜!!」


「まずっ、!

【絶界】!」


そんなことを考えていると、遂にレーザーが発射された。

考え事をしていたせいで、隠れるのを忘れていて、正面から当たりそうになったが、流石に今の私でも死にはしなくても瀕死にはなる。


私の魔力の三割を持っていくレベルの燃費が悪い魔法【絶界】を使う羽目になった。

くそう、魔力がごっそり削られた…


この魔法、どんな攻撃でも確実に防ぐのは強いんだけど、燃費が…


「…とりあえず終わらせよ。

【エンチャント 鋭】【エンチャント 焔】【オーバーマジック】。

死ね…!」


いつも使うエンチャント…付与をする。

勿論そんな程度で何とかなるわけもないので、オーバーマジックでドカンと一気に鋭さを上げて焔も強くする。


「〜〜〜!?!?」


「よし、討伐完了。

…やっぱり、強くなってる気がする。

でも、こいつはもうあまりやりたくないかな。」


素材として【アダマンタイト】が落ちたのは嬉しいんだけど、魔力をすごく消耗する…

それにアダマンタイトなんか私の生産じゃ使えないし…


少なくとも扱える人が出てくるのは数年後かな。

鍛冶系の最終辺りでようやく扱えるようになるはずだから、暫くは使える人は居ないと思う。


うん、確認はできたし、戻ろうかな。



ーーーーーー

早く配信するところまで書きたいなぁ…

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