第5話

「あらナノちゃんおはようございます。」


目が覚め身支度を整えた後、部屋を出てリビングへと向かうとそこには昨日のエルフさんが優雅に水を飲んでいた。


「あらナノおはよう。あぁエルファさんが居ることに驚いたのね?朝井戸で水汲みを手伝ってくれたのよ」

「はい、それでお朝ごはんでもとお邪魔させてもらっています。」

「いやぁ朝からこんな美人さんをみr「あなた?」イヤナンデモナイ...。」

「...そう。」


私はなんだかなぁと思いながらも嫌とは言えるはずもないので別に良いやと考え席に着いた。


「そうだ、今日はパパ達は商人の人と取引の続きをするがナノはどうするんだ?」

「これ...」


父さんに自作の木刀を見せる。


「スライム狩りか、確かにこの時期は少しジメジメとしているし居るかもな...。ただスライムでもれっきとした魔物だから油断して怪我をするんじゃないぞ?...まぁナノなら大丈夫だろうがな」

「もぅあなたったら...ナノ?魔物は危険なの、あんまりママ達を悲しませるようなことはしないでね?わかった?」

「ん!」


父さんは何やら自慢げに注意してくれて母さんは心配そうにそう言ってくれた。

エルファさんはそんな私たちを優しそうな目で見ていた。


「行ってきます。」

「ちゃんと気をつけるのよ?無茶しちゃダメ!わかった?」

「ん!」


それから母さん達とは離れて私はスライム狩りしに近くの川辺に向かった。


「おいお前!ここは俺らの縄張りだぞ!?」

「そうだそうだ!不気味女!よそ行け!!」

「気味悪い...」


川辺に着くといつもそこでスライムを狙っている子どもたちが私を睨みながら罵倒してきた。


「むぅ...。」

「へ!そうそうどっか行け!」

「ケッ!張合いもねぇ奴!お前みたいな女は弱ぇって父ちゃんが言ってたぜ!」

「反論もなしか!へ!これでも喰らいやがれ!」

「...。」


投げられた土を私は軽く避けてその場を離れた。

そんな感じで子ども達には結構嫌われているのでより上流側へと向かった。

上流に近いほど川の流れは早くなり深さもあるので子どもはまず寄り付かない

さて、それではそんな出来事でも無表情なナノちゃんの思考を覗いて見ましょう。


「なんなのあの子達!女の子に土を投げるなんて!それにあなたもよ!なんであんなに言われているのに反論しないで逃げるのよ!言い返すぐらいしなさい!舐められるだけよ!?」

「...?(え?何この人ってエルファじゃん?なんで着いてくるんだ?ストーカー?ってかなんでお前が怒ってるんだ?それにしてもついに土を投げてきたか!これ最終的に丸太になったりするんだろうか?いやいやどこの勇者よ!それにしてもいつ来てもここは綺麗な場所だよなぁ!お、綺麗な石発見!まぁこれ魔石らしいけど)」


いつもの事に慣れていた私は丸太を担ぐどこぞの勇者を思い浮かべていると足元に水色に光る小石を発見し拾い上げた。


「ん?まぁ!水の魔石ね!小魔石だけど売ればちょっとしたお小遣いにはなるわよ?」

「ん(鑑定持ってるから知っとる!こうやってコツコツ貯めて将来商人に売れるような年齢になったらこれ売って母さん達にプレゼントを渡す計画があるんだからな!確かこれで200以上は貯まったよな?そろそろ誕生日に貰った宝箱がぎゅうぎゅうで入りきれなくなってきてた。それよりスライムよ!出てこいスライム!我がこの木刀!京都に来たらやたら買いたくなる衝動を醸し出す魅惑の武器を味わうがいい!...あれぇ?ほんとにどこだ?いつもなら二、三匹固まっているよな?居ねぇじゃん)」


てくてくとスタスタと歩いて探すがスライムのスの字も見当たらない、見つかるのは小魔石だけだった。


「おかしいわね?普通このじめっとした感じなら2匹くらいすすぐに遭遇してても良いはずなんだけど?」

「むぅ...(あれか?俺が原因か!?そういえば天敵称号持ってたもんな!隠れてるのか!?探すのめんどいんだが!!?いや待てよ?スライム以外なら...いやいやそんな危険なことできないな!主に母さんに知られたら悲しませる...!いや待て?こいつ居るじゃん!よし、ダメ元で頼むか!ってな訳で行くぞ!?前世彼女いない歴=年齢(姉は彼氏いたがな!こんちくしょう!)の女の子ナノ!行っきマース!あ、やべ)」


私はそう考え後ろから着いてきていたエルファの方を向こうとした時若干ぬかるんでいる土にズルッと足を滑らせてエルファに抱きついてしまった。


「っと!大丈夫かしら?ここら辺ぬかるんでいるから気をつけなきゃダメじゃない...ってどうしたのかしら?」

「えへへ...(や、やべぇ!やべぇぞお前ら!いや誰だよお前ら!いやいやそれより抱きついちまった!あ、いい匂い...ってちがーう!!ど、どうしよう!と、とりあえず笑っとくか!?笑っとくか!笑えっとけばなんとかなるって前世のじっちゃんが言ってた!そのじっちゃんが誰だかはもう忘れたがな!!)」

「っ!!?」


混乱してとりあえずでこっちを見ていたエルファに笑いかけたナノに対してエルファは少し硬直した後いきなりぎゅっとナノを抱きしめた。


「え?(うぉ!?え?なになにいきなり抱きつかれたんだけど!?いや離れろし!私は討伐に行きたいんじゃ!抱きつかれるのは嬉しいが今は討伐なんだよ!ここら辺だと一角兎が居ると思うし倒してLvを上げたいんだよ!はーなーせぇー!)」

「可愛いぃ!なんなのこれ!破壊力ヤバイんですけど!?ってあら?少し痩せすぎかしら...?まぁ村なら仕方がない事よね。」


ぐいぐいと離れようとするが逆にぎゅうぎゅうと抱きつかれてしまい身動きが取れない状況に、それから数秒後に満足したのかエルファは話してくれた。


「ん(ふぅ...やっと離れてくれたか!それじゃあ森行こう!森!新たな魔物を求めて!動物でもいいぞ?食べ物!肉!そいやぁ最近野菜がほとんどで肉食べていなぁ?まぁうちの村には狩人の人が少ないし全員に回すだけの肉は取れないんだろうな...)」

「え?森に行きたいのかしら?危ないからだめよ?っとどうしたのよいきなり?...あぁそういう事ね?良いわよそれくらい!付き合ってあげるわ!」


森に入ろうとしたら止められた。

なので一緒に森に入ってと服を引っ張ると理解してくれたのか手を繋いできて森へと入った。


「居た...」

「あれは一角兎ね?...ってなんでそんなすぐに見つけれるのよ...?普通ありえないわよ?」


直ぐに一角兎を見つける。

その見つける速さにエルファは驚いていた。


「...せい(ふははは!小説知識その1!!殺気は出来れば逸らし気配は周囲に溶け込む感じで隠すことぉ!チェェストォォ!!)」

「ギュッ!」

「え?一角兎って殺気や気配に敏感だった気がするのだけど...。」


私は倒した一角兎を持ってエルファの服を引っ張った。


「教えて...(確か血の処理しないと味が不味くなるとか小説に書いてあったよな?やり方知らんのだけど?教えて貰えすか聞くか!教えてくだせぇ何でもしませんから!え?何でもすると言うと思った?残念!あれは悪魔の言葉だ...!そんなの気安く言えるわけねぇじゃん!あれ言って私は前世姉ちゃんにどれほどこき使われたことか...全身マッサージ5時間とかふざけるな!めっちゃ疲れたわ!!)」

「え?何をってあぁ処理の仕方かしら?良いわ!教えてあげましょう!」


それかは一緒に一角兎を教えて貰いながら処理した。


「ちなみに一角兎の角は薬に使われるから売れるわ!覚えときなさい?」

「ん。(ふむふむ、なるほどな!っと魔力反応が複数体...血の匂いに寄ってきた感じかな?同じ一角兎っぽいな!ここは一角兎しかいない感じか?いや、軽率な判断は危ないよな...他にもいると考えとくか。)」

「っ!まずいわね...血の匂いに魔物が集まってきているわ!ナノちゃん私の後ろにってちょっと!?」

「大丈夫...(ふふっ!私の力をとくと見よ!はいまず漂う魔力を集めましてー?こうなってとイメージします。そしてそれを獲物に向けて?ドーンだようyo!)」


それを引きがねにドンッという音と共に一角兎の気配が消えた。


「う、うそ...魔道具すら使わずに魔法を使った...?あ、ありえないわ...」

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