ボーダーを超える友情とバカ騒ぎ――ひっち過激団の青春録

 『ひっち過激団』は、地方都市の男子高校生たちが“非日常”を生きる青春SFギャグ群像劇。その最大の魅力は、日常と異世界のボーダーを軽々と飛び越えていく、ひっち過激団の底抜けなエネルギーと絶妙な仲間関係。ムードメーカーのひっち、理屈屋のかずやん、クールなだーいし、おっとり癒し系のたまさん――この4人のやりとりは、まるでかつてどこかで経験したような“バカ騒ぎ”と、どこにもない斬新さが同居しています。

 どんな異世界のピンチでも、ギャグと友情とちょっぴり切なさを織り交ぜながら、自分たちだけの世界を築いていく。その一方で、進路や恋、悩みや孤独といった等身大の青春の影も描かれ、ページをめくるたびに“いまこの瞬間”の尊さが胸に響きます。ひとしきり笑った後、ふと自分自身の青春を重ねたくなる――そんな魔法のような読書体験を、ぜひ味わってほしい作品です。

その他のおすすめレビュー

悠鬼よう子さんの他のおすすめレビュー1,116