第34話 この世は無常、あるのは移り変わる心の変化だけ……
階級制度によって、人の心を失った
この言葉に、怒りを露にさせる
「何も知らないくせに、きいた風な口をきくんじゃねえ! お前だってそうだ。商人と言ってはいるが、
「分かりました。では仮にそうだとして、私や
「――そんな事だと‼ だったら、お前のいう有意義とはなんだ。諭すことか? なら俺にとっての意味や価値は、それに関わった者達への復讐だ!」
「ですから、復讐は連鎖を生むだけ。やがて、因果として自分に返ってきます。確かに過去で受けた心情は、哀しみに満ちた辛くやるせないものに違いありません。――だからこそです。痛みの分かる
一定の距離を保ち、中央付近で立ち止まる両者。怒りと切なさが交錯するように、互いの信念は激しくぶつかり合う。
「ふっ、笑わせるぜ。そんな想いなど、とうの昔に捨て去ってやったぜ!」
「…………そうですか、私は少し残念です。その想いがあれば、分かり合えると思ったのですが……」
「分かり合う? 片腹痛い事をよくも平気な顔で言えるもんだ。いいか良く聞け! 俺とお前が心を通わせることは、この先1度だってありはしない。何故なら、俺が親父の代わりに成し得なかった世界を創り、名家もろとも階級をぶっ潰してやるからだ!」
「
「――ちっ。いつもいつも、
「お褒め頂きありがとうございます。ではお好きなように、どこからでも掛かって来てください。ですが、私には指一本触れること叶いませんがね」
「ふんっ! 俺もそこまで馬鹿じゃねえ。殴って当たらねーなら、捕まえて締め上げればいいこと」
「なるほど、何事も突進しかできない猪のような存在。そう思っていましたが、少しは考える事も出来るみたいですね。しかし、何をしても同じこと、先程となんら状況は変わりないでしょう」
「いい気になるなよ、
「確かにそうですね。けれど、修練は積めばいいと言う訳ではありません。心技体が伴って、初めて成せること。不浄の心ある限り、高みを目指す事など出来はしない」
「くそがぁ――、何もかも見透かしたような面で言いやがって。だが1つ、いいことを教えといてやる。お前のいう心の想い、そんなもので全てを救うなんてことは出来ねえ。世は無常、あるのは移り変わる心の変化だけ。優しき心を持った者でも、1つの状況で容易く憎しみに変わる。この世は儚く、永遠不変など無いということだ」
「そうだとしてもです。不変でない想いなら尚更のこと。憎しみの想いあれど、1つの出逢いから優しき心へ変わる事もあります。ただ、今はまだその時ではないかも知れませんが……」
唇を噛みしめ、熱き想いを語る
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