第2話 もう一度『お空』を観たかった

 この家に来て半年くらいだったかしら?


 外の景色が気になった私は………つい魔が差して、気がついたらベランダから飛び出していたわ。

 2階だったから文字通りに『飛んでいた』


 要は家出しちゃった訳…………。



 外の空気………それはそれは気持ちが良かったよ。

 でも………やっぱり出るべきじゃなかった。せっかく出したお腹の蟲がまた悪さを始めてしまった。


 でもその後、おばあちゃんが住んでる家に拾われて御厄介ごやっかいになれた。

 前のご主人と同じように病院に連れて行ってくれたし、正直困ってはいなかったの。


 1年半………多分それくらいだったかしら。猫にとっての1年半は、とてもとても長くて、前に居た家を忘れてしまうほどだった。


「その猫、家のなんですっ! どうかどうかまた家に戻したい…………」


 …………この声っ!? 間違いようがないっ!


 それは私の名付け親、まだ小学生の女の子に違いなかった。


 一人諦めないで、ずっとずっと私のことを探していてくれた!?

 それに勇気を以って今のご主人に掛け合ってくれたの。涙混じりで………。


 新しいご主人も私のことをとても可愛がってくれていたから、それはそれは悩んでいたわ。


 私達は所詮しょせん飼い猫………ご主人を選べはしない。だからどうにもならないし、生きていければ正直


 家猫は自由気ままに家でゴロゴロしてるだけ………これを読んでる人間はそう思っているでしょうね。


 だけど………こう見えて実は必死に生きているのよ………。


 結局おばあちゃんの方が折れて、私は前のお家に戻ることになったわ。


 それはもう皆が大歓迎、泣いて喜んでくれた。

 私は幸せ猫? うんっ、きっとそうねっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る