冒ギル3
フラフラと冒ギルを後に(女性の署員はまだ倒れていた)夜を明かせそうな地面を探す。
だめだ・・・どこも汚い。
暗くなる迄探し歩いたのに。
どこもかしこもうんことか汚物のなれはて・・・ていった感じの不浄に塗れている。
小さい路地へ入り、石の壁へと背中を預ける。
今日は立ったまま寝よう・・・
「ちょっと、ちょっとあんた。ここ、あたしの場所なんだけど」
目を開くと、深くかぶったショールからめっちゃ濃い目のメイクを覗かせ女が立っていた。
「あ、ごめん・・・隣、て・・・あっ、立つのね」
フ、と女が笑う。
「なんだ、わかんのかい。そうだよ、あんたみたいのがいたら金にも宿にもベッドにもありつけないだろ」
「ん、ごめん。頑張ってね・・・あ、魔法要る?」
「魔法?・・・うふ、若く見せる術なんてあったお願いしたいね」
「うん、若返れ~(パタパタパタ」
「プッ、洒落になんないね、ありがとよ」
いいヒトだな~。
コッチも笑いながら別れる。
・・・はぁ、大通りでいいか・・・
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「おい、いくらだ」
「フツーにヤるなら30。縛ったり打ったりすんなら90もらうよ」
「90だと?こんなトコに立つ婆が・・・」
男は女の喉許へ手を入れ、その細いアゴを持ち上げる。
挿し込む表通りの店明かりに女の顔が照らされると、男は絶句した。
「・・・なんだい?野暮だね、明かりを当てるなんざ・・・ババアすぎて驚いたのかい?」
「ふ、へへ・・・いいぜ、90だな」
あっさり90を選ぶとはツいてる・・・ケガがのこらなきゃ、ね。
などと最低の勘定を胸の内で済ませる女とその腕を引く男を割るようにカゲが入る。
「兄さん悪いな、他をあたってくれ」
「あ?ざけんなガ・・・」
不満も最中に、肉を叩く音とともに男は道へ叩き伏せられる。
「これで済ませてやっから帰んな。不満ならゼットのシュタンバルグさんが相手になんぞ」
「なっ・・・いや、へへ、ありがてえ・・・」
男は振り返りもせず雑踏へ消えた。
「・・・ちょっとソニー、なんで邪魔すんのさ」
「あん?・・・おまえ、メリッサか?!」
「それ以外のダレに見えんのよ」
「場所を荒らしに来たガキかと・・・ちょっとこい」
その後若さと美しさを再発見()されたメリッサは娼館預かりとなった。
日を置かず高級娼婦になり、足を開くごとにパドヴァの政界が揺れると言われる生きながらの伝説となり、その美しさが王族の目に留まると莫大な財と引き換えに身受けされていった。
メリッサは若さを齎せたエルフに礼を言おうと探したがその姿は終ぞ見つからず、忙事に翻弄され、寝物語で呟くことが精々となった。
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「・・・なんだ、纒わせた森の気で寝ればいーんじゃない」
ソファ程度のふわふわ加減なら光って燃えたりしないし、いーわコレwww
「あったか~い・・・ふわぁ、おやす・・・」
「おい!女が浮いてるぞ!」
「すげえ美人じゃねえか。妖精か?」
「エルフだ。なんで浮いてんだ?」
「空から女の子が?!」
うるせえええええ!!!!!!!!!!!!!
声がすんげえドヨンドヨン響いて聞こえる。
うーん、風魔法なら水素とかで浮いたりできるだろ、水素さんあつまれ~^^
ドーナツ状にした水素にソファをのせてフワフワ浮かんで行く。
丁度いい高さで止まり、改めて睡眠に就いたのであった・・・
白い午前中の輝きに目を開く。
「あ~~~~よく寝たわい」
パドヴァの街が一望できる。
・・・見晴らし良すぎんだろ、ホテルにでも連れ込まれてヤられてしまったのだろうか。
「・・・城?」
なんと、ラブホではない本物のお城だ・・・え?要塞とか言ってなかった??
城の屋根。
屋根の上に落ちていた。
冷えて落ちたとかそんなん?
まーいいか。
ポーンと飛んで、降りる。
特に下へ空気を流す、などの小洒落た魔法とかつかってなかったから、めたくそ下腹が冷えた。
男の玉ひゅんてやつ?
このヒュン!て感じ腹膜とかの神経のせいじゃないのか?
付いてない器官のことは想像できませんわ。
何気にワンピの裾がソードベルトまでめくれ上がって生パン丸出しになってしまった・・・
口笛を鳴らすマッチョイケメンどもに照れ笑いなどしつつ冒ギルへなんとなく歩いて・・・
「ちょーっとまった、お姉さん」
「ごめ、ちょっと冒ギルに用事あんのよ・・・後じゃだめ?」
なぜこの世にはスマホが無いのか!
後の具体的な段取りがめたくそ不能じゃないのよ~~~
「いやいや、その、ここ城なのよwわかる?」
「あっ!不法侵入!」
「あ、やっぱり?見た目は不審じゃないけど顔も憶えがないしハナシも貰ってないからさ~よかったぜ」
このマッチョイケメンどもてみんなここの番犬だったのか・・・趣味イイな!!
「どっから入って来た?身元は?」
別のクールメンから西瓜じゃなくて誰何入りました!
「えっと、空から入って・・・身元は無し!森からきました!!」
「空・・・どのようにだ?飛んできたなどとは言うまい」
「実演していい?・・・あ、縄とかあったら欲しいかも」
「いや。捕縛するまでもなさそうだが・・・逃げるのか?」
「んー、こういう・・・見える?」
目の前で水素っぽい軽い空気をレンズ効果が曖昧に見えるまで圧縮する。
「ああ・・・なにが歪んで、待て」
あたしの肩を掴む。
浮いてたwww
イケメンが持ち上がりかけたとこであわてて水素(仮)のカタマリを離す。
ぴゅーん!て飛んでった・・・うーん、まだ感覚が掴めない。
「・・・えーと、今みたいな感じで空中で寝てたら、いつの間にかここの屋根の上に寝てたの」
「うーん、さすがエルフ・・・なのか?」
「ああ・・・でもヤツ等にしちゃ話易すぎんだろ」
「本人を前にアレだけどさ、やたら人馴れしてるよなあんたw」
「あ!そいやあたし他のエルフ知らないわ!」
「マジかよww」
「あんのかそういうこと・・・」
「まー、いいだろ解放しても。お疲れ!宿は・・・あったら宙で寝たりはしねえか」
「実はお貴族様キブンで買い物したら・・・ぱんつ一枚にサイフごと渡しちゃって」
爆笑。
一緒に笑う。
あーいいな。損したー!てキブンが軽くなるわぁ・・・
笑いの閾値が低いてのもいいものよね。
「おい、お前たち・・・ん?なんだその女は!」
なんかゆるりとした衣装の男が現れた途端、イケメンズは夫々が素早くゆる男を囲みあたしとの距離を開ける。
「侵入者です。恣意や害意は認められませんが近づかないでください」
先程迄のあたしへの緩さは微塵もなく、夫々がこちらへ正対、或いは半身に構えながら油断なく得物に手を置いている。
す、すごい!マフィアのボスを守るガーズみたい・・・
ナニガーズだろ・・・イケメンガーズ??
そのガーズ達の隙間からこちらを飛んだりしゃがんだりせわしなく覗こうと動いているゆる男。
ウッフッフ・・・ひょっとしてお妾さんに入るチャンス?
「その女魔法は使えぬのか?わが妻が危機にあるのだ!」
あーさいですか、そうでしょうとも。妻。
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