第39話 人生一度は体験する事

 冒険者学校……なんか……こう……もうちょっとやることないかな?

 最近はやることが同じことすぎる。最近はコンフプロヒューダンジョンに繰り返し行く。先生は飽きないように「RTAリアルタイムアタックするぞ!!!」って工夫してくれるけど、それでもやはり限界がある。ダンジョン攻略部も、同じコンフプロヒューダンジョンに行ったし……あー、無双は確かに楽しいけど、これはこれでやることがなさすぎる! さらに4限目気づいたころにはもう終わってたし!


 私はなんか楽しいこと起きないか考えながらダンジョン攻略部の部屋へ向かう。ちなみに4限目はテイムしたモンスターと走り込みだった。テイムしたモンスターに走るのを合わせないといけないからこれはこれで結構難しかった」……。ダンジョン攻略部の部屋に着くとダンジョン攻略部の部長、黒髪のドーラさんが私達にびくびくしながら挨拶してくる。もうおびえられるのも慣れっこだ。


「こんにちは! 今日はどのダンジョンに行くんですか? それともコンフプロヒューダンジョンRTAですか?」


 その問いにドーラさんはおびえながらしっかり(?)答えてくれる。


「ええええええ、え、えと、えとえとえと、ここここ、今今今今、今回ははは、『アウシナーダンジョン』でで……ですすすす」


 この慌てように少しムッとしたので、足元にいるルーちゃんを抱き上げてドーラさんの顔面にくっつける。それをするとルーちゃんはぽかんとした顔になった。


「わかりました! あと一旦猫吸いして落ち着いてください!」


「むごっむご……スー」


 こんな時は猫で呼吸を整えるのが一番早いよね……最近わかったことで……。普通そんな事起きないと思うけど! 

 私の頭が少しずつネタに走り始めているのを感じながら、アウシナーダンジョンについて聞く。


「アウシナーダンジョンってどんなところですか?」


「幻覚を使ってくるモンスターが多いところだよ」


 私の問いにライが答えてくる。最近質問とかによく答えてくれる。しかも毎回間違えない……神だからかな? あとその記憶力が羨ましい。

 にしてもアウシナーダンジョン……今回は波乱の予感がしますな……。幻覚使ってくる……と考えている私の頭に、「モンスターだと思っていたら味方でした!」というオチが浮かんだ。……フラグかな? これは気のせいかな?

 いやな予感を感じながら部活開始の挨拶をする。


 キーンコーンカーンコーン……ピッ!!!


 部活が開始したのを知らせる鐘の音&大きなピコピコハンマーの音があたりに響く。


「こ……今回はアウシナーダンジョンを攻略しに行きます」


 部長の人が仕切る役となっているのでドーラさんがしっかりしきり始める。


「い、今から15分時間を設けるので、ダンジョンに行く準備をお願いします!」


 準備スタートの合図とともにみんな席から外れる。私はまずいつもコーギー達を待機させている部屋の隅に行って「ちょっと待っててね」という。すると各々いつものようにゆっくり床に寝そべって溶け始めたりしたので、私は一応自分の準備が大丈夫か確認する。


 八尺瓊勾玉……髪にもうつけてる! よし! 天叢雲剣……時空袋に入ってる! よし! 今八咫鏡も目で見て確認したし、ほかはもうないかな? 一応コーギー達のおやつとか持っているけど……。こう考えると持っていくものが少ないなー。

 毎回私の準備は前から2番目に終わっているので、「準備それで大丈夫なの?」と、ほかの部員の人達から毎回言われている。ちなみに一番は毎回ライだ。そりゃあそうだよね、神様は逆に「何を準備したらいいの?」って感じだからね。


 コーギー達愛でて待つこと15分後……


「そ、それでは転移キーを使用してください」


 やっとだー!!! やっと行けるー!

 私は少しテンションを上げながら転移キーを使う。この時……コーギーが3匹足りなかったことを気づかないまま。


 キュィィーーン……


 転移された先はまっさらな平原にダンジョンポツンとある殺風景な場所だった。


「ここがあ、アウシナーダンジョンです。特徴としては、階層が少ないけどモンスターが手ごわいというのがあります」

 

 まずパーティーで人数を分ける。私とライだけのクノロアスは人数が少ないのでそこそこ目立っている。ちなみにこの時「自分がまだパーティー組んでいません」とか「パーティー組んでいるけど仲間がほかの部活に入っていて一人だけです」って感じの人は人数少ないところに移る感じだ。なので毎回他のパーティーの人がクノロアスの入っている。そしてあいさつでペコペコしがち。えっと今回も三人入った感じか……ヒーラーに……物理特攻としかわからないのと、明らかにファイターの格好をした人だった。


「そ、それでは……攻略開始!」


 と、声が上がった。

 私とライは用心せずにずかずか進む。私はさ、強すぎると思っていてもふたを開けてみれば神様の仕業でしたー! って感じなんだよね!

 私達が1層目に着く。広さを見ると銭湯近くに出現したワンワンダンジョンとなずけられた場所の部屋の広さと同じくらいだった。そこにはモンスターがいたが、他の部員の人が戦闘している。一瞬手助けしようか迷ったけれど、そうすると一撃で終わる。あと、見た感じ大丈夫そうなのでそのまま第2層目に突っ切る。


 2層目で待っていたモンスターはふちが錆び、浮いている合わせ鏡だった。ライ曰く、貴族に捨てられた鏡が魔力を宿して生まれた鏡らしい。神様たちで作ったのかこっそり聞いたら自然に発生したという。

 そう聞いている間にも部員のファイターが鏡に接近する。それを見ながら


「ガラスって割るのがあるあるだよね」


 と、言いう。少し考えて手元に鉄でできたボールを出す。そして鏡めがけて手加減をしつつしっかり投げる!!! 時速180㎞行っていそうなボールがファイターの真横を通り抜け、見事鏡のど真ん中にヒット!


 ガッシャーン!!


 姿を映すところににヒビが入り、最後自分を壊した人物(私)をにらみつけるように映す。その直後、強い衝撃を受けたのが原因で割れた銀とガラスが花火のように周りに散らばる。それを見ているとガラスが割れた音が大きな悲鳴に聞こえてくる。そして完全に無残な姿になった鏡は力なく倒れた。これで倒したって感じかな?

 後ろを振り返るとライ以外の2人はびっくりした表情のままで固まっている。そして肝心のファイターはガタガタ震えていた。……おーい? 大丈夫ー?

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