手記5.再会、そして……
私は妻の死を隠ぺいした。
正直に組織に伝えれば、ユキは捕獲され、完全なモルモットにされてしまう
それだけは避けたかった。
私は個人のツテで、妻の死をなかったことにし、娘も家にいるも組織に虚偽の報告をしつつ、娘を探したが見つからなかった。
そんな娘を発見したのは、意外な場所であった。
深い深い山の奥、彼の住む家に、私が死体を持って行ったところ、楽しそうに彼と会話するユキを見つけたのだ。
私の家から100キロ以上は離れているこんな場所で再会すると、おそらく妻の記憶に基づいて
驚きながらも、私は納得した。
やはり、私はユキの父親ではないとうことを。
ユキは本当の父親のもとにいって幸せに暮らしているのだ。
それが、死ぬまでのわずかな時間だとしても
私はユキの症状を緩和する錠剤を渡すと、仕事の話を彼にして、早々に立ち去った。
ユキが彼の家で生活する間に、もう一度だけ仕事で彼の家に訪れたが、彼と会話をしただけで、ユキとは会話をしていない。
ユキは私たちが会話している時、少し離れた時にスマートフォンをいじっていた。
その時、私は違和感を感じていた。ユキの雰囲気が、彼によく似ていたのだ。
親子というだけでは片づけれない何かがあった。
私は、妻を殺してしまった後のユキの表情が脳裏に浮かんだ。
もしかしたら、ユキは、彼の体の一部を喰らい、彼の記憶や経験を盗み見たのかもしれない。
とはいえ、ユキの事は心配だった。
私は頻繁に彼の家の様子を見に行き、彼らに気づかれない距離から2人の様子を見守っていた。
紛い物だとはいえ、私はユキの父親であったからだ。
だから、ユキの死体を発見したのも私が最初だった。
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