懇談会

アリシアとハクとデートをした次の日

今日は王家主催の今年5歳となった子息がいる貴族が集まる懇談会の日である

そのためメイドたちは朝から忙しく動き回り、王城に行く本人たちも衣服の最終調整といったものに時間を追われていた


シン「はぁ………やっと一息つけるよ…」


ハク「お兄ちゃん疲れた〜…」


ハクはいつも通りシンにくっついているが、疲労からか少しばかりぐったりしている


シン「しょうがないけどね…まぁ今日は行ってご飯食べながら挨拶して終わりだから頑張ろうね。」


ハク「えぇ〜…人多いところ行きたく無い…」


ハクは行くのを嫌がっていはいるが、時間は無情にも過ぎていき、出発の時間となった


アレックス「ではレイよ。留守を頼んだぞ。」


エリス「レイあとは頼みますね。」


レイ「分かりました。行ってらしゃい。」


シン「兄さん。行ってくるね。」


王城に今回向かうのはアレックス、エリス、シン、ハクというメンバーだ

全員が馬車に乗り込むと、王城へ向けて馬車が出発する


アレックス「今日は最初に陛下達に挨拶をしに行くが、その後は自由にしててくれ。私達は挨拶回りをしてくる。」


エリス「久しぶりにマリアンヌに会うから楽しみだわ♪

ハクちゃんもシンもお友達作ってきてもいいのよ?」


なんとエリスとマリアンヌ王妃は旧知の仲だったそうで昔はよくお茶会をしていたそうだ


ハク「う〜ん…お姉ちゃん達がいるし、お兄ちゃんの近くにいたいからいいや。」


ハクはあくまでもシンと共にいるつもりらしい


そんな会話をしていると王城に着いた


門番「ご歓談のところ申し訳ありません。何か身分を証明できるものはありますか?」


アレックス「あぁ、これを。」スッ


アレックスは貴族家当主のみに渡される証明書を門番に見せる


門番「確認できました。ご協力ありがとうございます。」


そう言って門番は馬車を通す


そしてある程度まで馬車でいくと、降りて中へと歩いていく


アレックス「さてそろそろ着くぞ。」


大きな扉が現れ、それを通ると大きな広間が広がっている部屋についた


多くの貴族は到着していたのであろうか多くの人々が既に歓談を始めていた


先に親しい貴族に挨拶を済ませていると、音楽が鳴り始めた


全員が膝をつくとラルフとマリアンヌ、そしてイリスが現れた


一段高いところにある豪華な椅子に座ると音楽が鳴り止んだ


ラルフ「皆のものよく来てくれた。今宵の主役は我らが子どもたちだ。この子らの未来を願って乾杯。」


その一言で全員が乾杯をした

そしてラルフへの挨拶が始まったが基本的に爵位の高い順で行うため少し待つ必要があった


アレックス「皆、そろそろ行くぞ。」


アレックスが皆を引き連れてラルフの下へと向かう


アレックス「陛下。本日はご招待いただきありがとうございます。」


アレックスが代表して挨拶する


ラルフ「アレックスか。よく来てくれた。今年はイリスも5歳になったのでなお主の所の子とも仲良くしてほしいのだ。ほれ、イリス。お主も挨拶しろ。」


イリス「分かりました。カルミナ家当主樣。今後宜しくお願いします。シン様もハク様も宜しくお願いします。」


シン「宜しくお願いします。イリス樣もお召し物が良く似合っておられますね。女神様が現れたかと思いました。」


ハク「宜しくお願いします。」


シンとハクが挨拶をすると、イリスが顔を赤くして照れてしまう


ラルフ「………………のう、アレックスよ。お主の息子は女たらしだのう。」


アレックス「私も頭が痛いです…」


その光景を横目に、ミリアとマリアンヌは談笑をしていた


ミリア「お久しぶりですね。マリアンヌ王妃殿下。」


マリアンヌ「あら、カルミナ婦人。お久しぶりですね。いつの間にか、かっこいい子を作っちゃって…またお茶会しましょうね。」


ミリア「ご招待頂けるのであればぜひ。」


そうして挨拶が終わって、次にイシュダル公爵家の下へと向かう


アレックス「イシュダル公爵。お久しぶりです。この度はどうもお世話になりました。」


エドワード「カルミナ伯爵ではないですか。この度はこちらこそ娘がお世話になりました。」


アレックス「いえいえ!こちらこそ息子がいろいろとお世話になったようで…ほら、シン、ご挨拶を。」


エドワード「おや、英雄殿ではないですか。」


シン「はじめましてイシュダル公爵樣。英雄ではないですが公爵様のお耳に入ることが出来たのは光栄でございます。」


エドワード「いやいや、娘を助けてもらったのだから、当然ですよ。ほらシャルロッテ、お前も挨拶しなさい。」


シャル「シン様、この度は助けていただきありがとうございました。」


シン「いえいえ当然のことをしたまでです。シャルロッテ嬢のお召し物はとてもお似合いですね。」


シャル「シン様も王子様みたいでお似合いですよ。ハク様もお久しぶりですね。」


ハク「シャルロッテ様もお久しぶりです。」


と挨拶していると、


エドワード「先程王女殿下にも女たらしをしていたようですし、私は未来が心配ですなぁ〜」


アレックス「仰る通りで…」


一通り挨拶回りが終わり、あとは子どもたちだけで話してこいとアレックスに押し出された


誰かいないかハクと共に探しているとシャルがやってきた


シャル「シン君、ハクちゃん、一緒にお話ししない?」


シン「いいよ。ハクもいいよね?」


ハク「シャルお姉ちゃん!いいよ!」


3人で飲み物を取ってきて談笑を始める

そこへやっと挨拶が終わったのかイリスもやってきた


イリス「やっと終わりました…シン様はシャルと楽しそうでしたね。」


シン「イリスもお疲れ様。」


ハク「イリスお姉ちゃんお疲れ様!」


これで婚約者(内々)の3人が揃い、仲良く話していると、いきなり男の子がやってきた


???「王女様、そしてシャルロッテ嬢、ご機嫌麗しゅう。そこの女性もお美しい、どうです?そこのやつよりも私とお話しませんか?」


イリス「結構ですキモス様、私達は好きでシン様とお話しておりますので。」


キモス「くっ…そこのお前!王女様と共にいるのは相応しくないぞ!僕のほうが相応しい!このミスラ伯爵家の次期当主様であるキモス様のほうがな!」


シン「あぁ、そうですか…」


因みにこの世界では爵位は下から騎士爵、男爵、子爵、伯爵、辺境伯、侯爵、公爵、国王となっているが

基本的には次期当主よりも独立貴族の方が上である

たとえ次期伯爵家当主であろうとも相手が男爵家当主であれば男爵家当主の方が偉いことになる

更に言うならば貴族家当主には不敬罪というものがあり、爵位が下のものから何かしら不敬をはたらかれた場合、罪に問うことができる。この場においてやらかしてしまったのはキモスの方であった


キモス「一人男爵位をもらった子どもがいるらしいがそんなの関係ない!僕が偉いんだ!」


シンは呆れて物が言えない


シン「はぁ………」


イリスとシャルロッテ、ハクは冷めた目でキモスを見る


キモス「では皆様、僕とお話しましょうか!」


シンはここでタネ明かしをしようと考えた


シン「少しお待ちをキモス『殿』。」


キモス「はぁ?!お前今僕に向かって殿といったな?お前みたいな下級貴族の子どもは僕に向かっては様をつけないといけないんだぞ!」


シン「あぁ、そうですかキモス『殿』改めまして自己紹介させて頂きます。カルミナ伯爵家が息子であり、この度、陛下に男爵位を授けられましたシン・アストラと申します。以後お見知りおきを…」


キモス「え?!男爵?!そんな嘘だ!」


ここでイリスから援護射撃が飛んでくる


イリス「いえ、嘘ではありませんよ。正真正銘男爵本人です。私とシャルを助けてくださったことで褒美に父が男爵位を授けられました。」


その言葉を聞いて、キモスはどんどん顔が青くなっていく

なぜなら先程男爵本人に向かってお前と言ってしまったり、その他不敬と取られかねない言動をしてしまっているからだ


キモス「この度は、大変申し訳無いことを…」


シン「そうですよね。流石に次期当主程度の方から当主に向かってそのような言葉を吐かれると不敬罪に問うしかありませんからね。」

キモスは顔色が青を通り越して白くなっていく


シン「まぁ、今回だけは聞かなかったことにしましょう。」


イリス「シン様がお許しになるそうです。良かったですね。しかしこの件については父を通して、ミスラ伯爵に抗議させて頂きます。」


キモス「ご寛大な処置ありがとうございます…」


キモスは脱兎のごとくシンたちから離れていった


シン「いや〜スッキリしたねぇ!」


ハク「お兄ちゃん悪い顔してたね…」


イリス「なんて失礼なんでしょうか!」


シャル「まぁまぁシン君が追っ払ってくれたし良かったじゃん!」


イリス「それもそうですね。シン様ありがとうございました。」


シン「いやいや当然のことだよ。婚約者を守るのは使命だからね!」(小声)


すると皆の顔が赤くなってしまった…


シン「あ、そうだ!3人とも少しこのあと時間あるかな?渡したいものがあるんだ!」


イリス「?大丈夫だとは思いますが…」


シャル「私も大丈夫だよ。」


ハク「お兄ちゃんが帰らないなら私も一緒にいるしね。」


とシン達はこのあと集まることを約束した


シン「ごめんね。少し席を外すよ。」


そう言ってシンは席を立ち、トイレに行くふりをして、誰にも見られていないことを確認すると、創造を使い、宝石とアクセサリーを作り出す

宝石には絶対防御と状態異常無効、そして同じアクセサリーを持つ者同士で念話が使えるように付与魔法をかける

そしてその宝石をアクセサリーにはめたものを4つ用意する


シン「これで僕が居ないところでも守れるね!」


なんとも過保護なシンであった…

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果てなき夢の旅路 カミラ @HOMURA649

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