七之神神社にへ

あんこ餅こね太郎

募集要項

「金欠だ…」

爛々と光るスマホ画面を見ながらつぶやいてしまう。

 新生活を目前に私の通帳に刻まれた数はとても寒くなっている。『新生活』という理由でアレやコレやと必要なのか不必要なのかもわからない物まで買いすぎてしまったようだ。

「しかし本当に必要か?コレ」

私は衝動買いした受注限定生産フィギュア(二万四千五百九十円)を弄り逆さにしてパンツを覗き込む。

「黄色、ねぇ」一文の生産性が無い確認が終わり、もう一度スマホ覗き込み数字とにらめっこ。

どちらかが笑ったとて数字が増えるでも無い、すぐに画面を閉じバイト募集を検索し始めた。

 近所で高時給、それでいて楽な……そんな好都合なバイトは無いだろうか、と内心舐め腐りながら探していた。無い事など理解はしているがついつい考えてしまう。

邪な心を持ちつつ画面をスクロールしているとあったのだ。『近所』で『高時給』で『楽』そうなバイトが。


【誰でも簡単!!神社のお手伝いさん募集!!

 時給:千七百円

 作業内容:神社の敷地内の清掃及び参拝客の対応

 募集要項:男女問わず 学生限定 履歴書不要

 住所:○○○ ○○-○○

 電話番号:○○○○-○○○-○○○】


なんと素敵なバイトだろうか、私は釘付けになってしまった。

この神社にどんな有難い御利益があるかは知らないが今の時期は閑古鳥が鳴くぐらい暇なはず、実質敷地内の清掃だけで千七百円は美味しい話だ。それでいて場所も徒歩数分くらいと来た。私はすぐに電話をかけた。

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