彼方のノスタルジア
Ko6
case0
初めてそれらを異物と認識したのは小学2年生の頃だったように思う。
そう思うだけではっきりはしないけれど。
何で気づいたのか覚えてはいないけれど。
自分は異常な存在だとと気づくには早すぎる年齢。
善悪の区別も録にできない少年が。
夏の暑い日の夕暮れ"それ"をみた。 それが何なのか、今でもわからない。知らない。
でも一ついえるのは、 それをみた瞬間に自分の人生は何かから外れたのだと幼いながらに気づいてしまたことだ。
それは達観なのか、人生の答えを見つけてしまった感じがしたまま少年は青年になった。
だからといって生きるのがかつらい訳ではなかった。
ふとしたときに、頭の中や視界の端にそいつらが現れ、自分が怯える。
ただそれだけのことなのだ。
それでも、
もう見たくないと、何度願ったことだろう。
目を潰そうと、何度思っただろう。
いっそ死んでしまえたら何も考えなくてすむのだろうかと、何度も考えた。
そんな勇気は無いのだけれど。
死にたくは無かったから。
微かに残る穏やかな記憶がそうはさせない。
だらだらと時間を浪費する日々。
これはただの緩やかな死だと、思っていた。
中学2年の時、とある人に出会った。
過去に執着しない自分でも、記憶の中でもそこだけは色づいている。
もう、顔ははっきりと思い出せないけれど。
その人の言ったことだけは鮮明に覚えている。
「どうか、世界を見て。自分が何なのかを知りなさい。自分が何を知っていて、何を知らないのか、だからどうか───」
どうか、目を閉じないで。
夏なのに涼しい日。蝉のなく昼下がり。遠くまで青空が続く小さな草原でその人は寂しそうに笑った。
彼方のノスタルジア Ko6 @kamikamu27
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