第32話 泣いちゃった アオイ視点
「え〜!? 静兄と蒼姉もう付き合っちゃったの!?」
今日はシズの家に泊まる日。昼からシズの家に行って、夜の8時になった頃シズの妹のミオちゃんもやって来た。明日イベントがあるとかで泊まる為に。
「えへへ……そうなんだミオちゃん」
「めっちゃニヤけてるし……でもそっかぁ2人がねぇ……」
ミオちゃんがニヤニヤとオレとシズの顔を見る。
「な、なんだよミオ……?」
「いやぁ? 細かいことはもこの際言わないよ。蒼姉と女神のこととか見た目の年齢とかね」
「うっ……それ言われると僕は何も言えないんだけど……」
「だからそれは言わないって! 2人が決めた事だしね私は何にも言わないよ。うん。応援するし〜」
ミオちゃんは買ってきたパックのミルクティーに口をつけた。
「そう言って貰えると嬉しいなぁ」
シズの妹のミオちゃんにそう言って貰えるってもう家族公認みたいなもんだし……。
「私も蒼姉と姉妹になったら嬉しいし〜」
「え? 姉妹って?」
シズが不思議そうな顔をする。それを見たミオちゃんが呆れたように肘をつく。
「だって責任取るんでしょ? 静兄」
「責任ってなんだよ?」
「はぁ……もしかして静兄……蒼姉を捨てるつもりあるの?」
「え」
「かわいそう……蒼姉……静兄に幸せにして貰わないとせっかく女の子になったのに……ねぇ? 蒼姉〜!」
シズと別れる?
シズがオレのこと嫌いになる?
なんだか想像しただけで涙が止まらなくなって来た。
「ええ!? ちょ、アオイ? 泣かないでくれよ!」
「だっでぇ……」
「アオイ!? そんな事しないからさ、な?」
シズが背中を摩ってくれる。
「だっこ」
「うぇ!? 本気で言ってる? ミオがいるんだよ!?」
「……だっこして欲しい」
「ええと……」
「うぅ……」
「わ、わかったから。泣かないでくれよ」
シズがオズオズと抱きしめて、背中をトントン叩いてくれる。オレもシズのことをギュッて抱きしめた。
「うう〜」
「よしよし」
「なんか蒼姉、子供みたいなんだけど?」
「アオイは思考が幼くなる時があるんだ。まぁ……この体になった影響かな」
「ふぅん。なんか悪いことしちゃったかなぁ」
「お前わざと言っただろ?」
「ごめんて〜! ちょっと無神経だったかな〜」
そう言うと、ミオちゃんがオレのほっぺたをプニプニ押してきた。
「ごめんね蒼姉? ちょっと協力しようかと思ったんけどぉ……裏目に出ちゃった」
「う……ひぐっ……いいよ……」
「あ、なんかカワイイ」
「泣き止むまで待つか」
シズとミオちゃんの声が聞こえる。
結局、その日は泣き疲れて寝てしまった。後で思い返すと子供すぎて恥ずかしい。
でも夜中に目が覚めた時、もっと恥ずかしいことに気づいた。
それは……。
シズとミオちゃんに手を握られて眠っていたことだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます