第1話 メインヒロイン達に囲まれる
(ど、ど、ど、ど、どういうことだ!?)
現在、俺は
理由は簡単だ。
クラスでも一、二を争うほど人気な超絶美少女が間近に迫るどころか、抱きつかれているからだ。
マジで色々やばい。
まつ毛とかめっちゃ長いし、若干垂れ気味な目元の横にある黒子がエロいし、サファイアのように澄んだ瞳がめっちゃキラキラしてるし、少しぷっくりとした桜色の唇がエロいし、肌は白雪のように白く凹凸が一切なくてめっちゃすべすべしてそうだし、何より俺の胸に潰れて形を変えている聖さんの高校生とは思えないドデカっぱいの破壊力がエグい。
おかげさまで、正常な思考が出来るわけもなく頭の中は『おっぱい』の四文字で埋め尽くされてしまっている。
そんな状態になれば、必然的に血の巡りの方も変わってきて。
「っ!?すまん」
俺は咄嗟に、聖さんの肩に手を置き距離を取った。
それに対して、聖さんは目を見開き驚いた様子を見せる。
次いで、その後「ふふっ」と何故か笑みを溢した。
「すいません。びっくりさせちゃいましたね」
「あぁ、本当にな。心臓が飛び出るかと思ったぞ」
胸を抑える俺を見て、「テヘ」と舌を出す聖さん。
可愛い。
可愛過ぎる。
マジで惚れてしまう。
まぁ、前世の時点で惚れているので今更なんだが。
(でも、マジで急にどうしたんだ?)
ドクドクと早打つ鼓動とは裏腹に、頭の熱が冷めてきた俺はこの不可解な状況について考える。
正直、俺と聖さんの関係はハッキリ言って知人以上友人未満だ。
宿題の回収をする時や、グループワークで同じ班になった時、一緒の掃除当番になった時に、軽く一言二言話す程度で深い関わりはなかった。
というか、俺が作らないようにしていた。
何故なら聖さんは、原作だとこのクラスにいる
絶対に報われない相手に挑むなんて
そんなわけで、
間違っても、ハグをするような関係ではない。
そんなわけで
超速思考を経て、俺は一つの可能性に思い至る。
(はっ!?もしかして、俺の顔を見て異世界に帰還した実感が湧いたとか?)
このクラスの中で、異世界転移しなかった俺はただ一人。
彼女達にとって俺は異世界で修羅場を共にした仲間ではなく、青春を共にしたクラスメイト。
つまり、日常の象徴のような存在なのではないだろうか?
だから、聖さんは俺の顔を見て本当に元の世界に帰ってきたのだと感極まってしまったのだろう。
いや、間違いない。
これならクラスメイト達が俺の方を見て固まったことにも説明がつく。
なら、俺のすることは簡単だ。
「なぁなぁ、仲村。お前も病人にならないか?39℃の高熱と三日間トイレに篭れば、お前も聖さんにハグしてもらえるかもしれないぞ?」
いつも通り振る舞えばいい。
彼らが異世界転移する前と同じように。
少しおちゃらけた普通の男子高校生を演じればいいのだ。
それがきっと彼らの為になる。
そう判断した俺は近くに座っていた友人の
「伊吹。……お前そんな重症だったのかよ」
「あぁ、マジで辛かったぜ。地獄のようだった。だが、おかげさまで俺は天国へ行くことが出来た。お前もどうだ?」
「いや、遠慮しとく。三日もトイレに籠った臭い身体で聖さんを汚したくないからな」
「なぬ!?俺の身体がうんこ臭いと申すか!?」
「あぁ、プンプン臭うぜ」
「シャラップ!ちゃんと毎日シャワーは浴びて絶対そんなことない!なっ!?聖さん」
「ふふっ、私はどれだけ匂っても気にしませんよ」
「聖さん!?えっ、俺そんな臭う?嘘だよな、そうだよな!?」
「ふふっ」
「「ぷっ!」」
仲村と聖さんに弄られる俺を見て、クラスメイトの全員が笑い声を上げる。
それはSHRの始まるチャイムが鳴るまで続き、
俺はその光景を見て安堵の笑みを溢した。
数十分後。
俺は窓の外を見ながら遠い目を浮かべていた。
それは何故かって?
先程行われた席替えの結果がヤバかったからだ。
いや、人によっては、否、男なら誰しも最高だと思うだろうが、前世の記憶がある俺には辛過ぎる。
「これからよろしくお願いします。いぶ──物部君」
「いぶ──物部、よろ」
「よろぴくね、いぶっち──物部っち」
「あぁ……よろしく」
そう。
女子に囲まれてしまったのだ。
しかも、クラス内でもとびきり人気な超絶美少女の3人に。
一人目は先程少し話した清楚で金髪爆乳美少女の聖のどか。
二人目は、無表情系ロリ巨乳黒髪美少女の
三人目は快活系銀髪ウルフカット爆乳ギャルの
彼女達は作中で活躍した聖女、賢者、拳聖であり、東大地のハーレムメンバーである。
何故、そんな彼女達の中心に俺が座っているんだ!?
神様マジでどういうことだよ!?
普通ここは東が座るべきポジションだろうがーーーー!!
おまけ
「あの、宮園さんそのくじ何番ですか?」
「20番だよ」
「本当ですか!?良かったら私の5番と交換してもらえませんか」
「全然いいよ。私窓際好きだし」
「ありがとうございます!」
「ふっ、これが運命力」
「……賢野さんガッツリ魔法使ってたよな?」
「……えぇ、バチコリ使ってたわね」
「やった!ラッキー!めっちゃくじ運いいんですけど」
「えっ、どこどこ?あー確かに最高じゃん」
「でしょ!?ふふっ、楽しみだなぁ」
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