亡霊牢獄

@sn4

第1話 序章

ある雨の日の夜の繁華街、

既に深夜の1時を時計の針が回る

頃の事であった。


一人の青年が本降りの雨の中、


傘もささずに息を切らし

何やら得体の知れない何者から

逃れようと必死で繁華街を

うろつく酔っぱらいどもを

突き飛ばしながら走っていた。


青年はひどく怯えて、まるで


目に見えない何かに追い詰められて

いる様な様子で時折彼は

後を振り返っては何か大声で

叫んでいた。


「やっやめろー!!来るな!!

助けてくれー!!」


彼は降り頻る雨の中、

まばらに街を歩く人々を強引に

押し退け通りすがる人々に


「ちょとぉ~!? なによ~ アレ?! 」



と、好奇の目でジロジロ周囲から

見られていたが、彼に人の目を

気にする余裕はまるでなく



やがては闇雲に走り続けていた

青年は、まるで意図的に繁華街の

ハズレに建っていた廃虚のビルの

屋上へと追い詰められるように

入って行った。



「やめろーっ松男ー!!藤倉っ!!

来るな!!

やめてくれー!!」


青年は最後、謎の言葉を叫び

ビルの屋上から飛び降りた。



深夜2時頃の出来事であった。





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