第12話 手掛かり
マーガレットを陥れた不届者に天誅を下し、拠点を浄化した際に拾った本を早速読むことにした。
読めない文字ではなかったので読み進めて行くと、どうやらこの本はお宝や古代から伝わる伝説を求めたトレジャーハンターの日記だった。
西の果てに有る多種族国家に眠ると言われている太古の魔剣の話しや洞窟の奥に有るとされる不老長寿の秘薬に最北端には異世界に繋がる扉が存在してるなどの話しが事細かく書かれているのだが…
実は名前が違うだけで同じ話しだろコレと思う様な記載が続きトレジャーハンターで生計を立てるのは中々苦労しそうだなと思いながら最後の一冊に手を付けた。
「・・・・ふむ、これはこれは」
――数百年前に『古代魔法』と呼ばれる失われた魔法を操る者が居た。しかし古代魔法を操る者は世界に厄災を齎すとして当時の聖教会によって封印された。
その者は『魔女』と呼ばれ現在ではその存在は忘れられているハズだったが最近誰かが封印を破り、魔女を連れ出した
その事実を掴んだ俺は早速旅に出た。
そして長い旅路の末に『教団』と呼ばれる組織が『魔女』の封印を解き攫って行ったと言う情報を掴んだ。
なので今度はその教団を追うことにした。
教団の足取りを追ってたどり着いた町で面白い話を聞いた。
どうやら教団の連中は移動中に遭遇した盗賊の襲撃を受けて『魔女』を奪われたらしいと…これは運が向いてきたかもしれない。盗賊なら隙が多いからな俺が横から掻っ攫うつもりだ。
今度は魔女を攫った盗賊について調べていたのだが…
まずい!俺の存在が教団にバレた!
くそ!教団のやつら俺の事を盗賊の仲間と勘違いしてやがる!俺は盗賊じゃないってのに!―――
日記はここで終わっていた。
「この話しが本当なら探してみたいが…この日記の情報だけでは流石に探し様がないのがな~」
オーキスとしては是非とも会って見たいのだが、流石になんの情報もないまま当てもなく彷徨う事は避けたい。
なので今後は『魔女』ついて情報を集めることに決め、まずは目先の問題であるマーガレットとの契約を片付ける事にした。
『部屋を暖かくする魔道具』と言えば『ヒーター』だろう。
適当な大きさの箱に発熱の魔法を込めてた魔石を魔力を流すと熱を発する様にすれば熱源になる。そしてその熱源に後ろから風を当てればヒーターの完成だ。
「しかし他人から貰った『整形』と『付与』の力と前世の知識で多少の調整だけでヒーターが作れる…なんか素直に喜べないなコレ。まぁこれがネタ装備だったら迷うは無いのだけど……とは言え金に困ったら絶対に作っていただろうから悩むくらいなら、幸運に感謝して力を使おう」
まぁ誰に咎められることは無いので他人の力云々は気にしないことにした。
「とは言え及第点は貰える出来なので、近々売り込みにいくか」
そう言いながらオーキスはマーガレットに向けた手紙を書き始めた。
マーガレット宛てに手紙を出して数日後、向かえを寄こすので是非来てくださいとの事で『ヒーター』を持参した所、大興奮だった。
「これが『ヒーター』なる魔道具ですか!?」
「ええ、魔力を流すと熱い空気が出てきます」
「こ、これは凄いです!是非ウチの商会で売らせて下さい!」
「それは問題ありませんが、温度の調整が出来ないのと消費魔力が結構多いので頻繁に供給しないといけないのでその点はご了承ください」
「問題ありません!寧ろこれ以上の物を作れる方が私としては驚きです」
(いやーこれ以上の出来の物が溢れている世界から来た人間としては不便では?とも思うが・・・・まぁ良いか)
「それで販売に関してですが・・・・」
「ではそれで」
「はい、契約書は後ほど作成致しますので」
「判りました、同じクオリティで増産します」
商談の結果は上々だ。
販売はマーガレットが商会を立ち上げるまで行わないが作った分だけ買い取るのでぜひ量産して欲しいとの事なので『魔女』についての情報を集めて貰う事を条件に量産を引き受けた。
★★★★★★★★
マーガレットとの商談から2ヶ月程過ぎたある日、熱血衛士長さんより魔女に関する情報が手に入ったとの手紙を受け取った。
因みにその間俺は『ヒーター』製造マシーンと化していた。
作れば作る程売れるので一日の大半をヒーター作りに費やす事になり気まぐれに温度調節機能を付けたらすぐに商会を立ち上げたマーガレットに見つかり、平民用に音調なし、貴族用に音調有りで販売した所、飛ぶ様に売れた。
まぁそれはともかく、手紙を寄こしたって事は何かしらの手がかりが手に入ったのだろうと予想をつけながら封を切り中を覗くと
『有力な情報を手に入れた。家に来て欲しい』
そう書かれていたのでマーガレット邸にお邪魔する事にした。
「来たか」
「久しぶり…って程でもないか」
「まぁな…っと早速本題なんだが」
そう言うと場の雰囲気が急に張り詰めた。
「前に西の奴らが遠征している話しはしたよな?」
「ああ、どっか遠くまで行ってるって聞いたぞ?」
「ここ最近帰ってきたんだが…『魔女』を連れて帰ってきたんだが‥‥」
「だが?」
「ああ、ただな…」
何故か言い淀むのでもしかしたら予想と違う結果になったのだろうか?
例えば‥‥‥実は男だったり?
‥‥いや、イヤイヤ!
それはナイ‥‥‥と言いたいがその可能性は捨てきれない!
前世では16世紀から17世紀にかけて最盛期となったかの有名な『魔女狩り』では一部には男性も含まれていたのだ。
なのでこの世界でも魔女=女では無い可能性も大いにあり得る。
っく!盲点だった!
俺の中では魔女=ロリババアの可能性大と思っていたが‥‥これは言い淀むのも無理はないな。
又しても振り出しに戻ってしまったが仕方ない。またコツコツと情報を集めるしかないかと心の中で悲しみを堪えていたのだが―――
「実はな…部下の報告では『魔女』なのに小柄なんだそうだ。だから適当な少女を攫って魔女と偽っていると疑っているんだが…」
―――俺の懸念は杞憂だった様だ。
キター!
福音キター!
今の話しが本当なら魔女の外見は少女って事になる。そしてトレジャーハンターの日記には現在では忘れてられた存在って事だからかなりの年数が経っている事になる。
つまり魔女=ロリババアだ。
「最高だ!ありがとう!すぐにでも行ってくるぜ!」
情報料として持参した金貨の詰まった袋をドカッとテーブルに投げて外に飛び出そうとしたが待ったが掛かった。
「待て待て、流石に西の奴らは規模がデカい!最低でも50人は居るはずだから俺も行くぞ!」
「そうか?なら一緒いこうか。あ、でも魔女の確保が最優先だからな?」
「判ったよ。お前さんが残した分は後日回収するから安心してくれ」
「ならヨシ!」
魔女解放作戦の開始だ!
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