第7話 カクヨムでミステリを書くためには

 Web小説と絶望的に相性の悪いミステリ。そんなミステリと仲良くしていくためにはどうしたら良いのでしょうか。


 当然ながら僕も研究途上ですので、しがない物書きがなんか講釈垂れてるわ~ぐらいに捉えといてください。別にPVや星だけを目的に書いてるわけでもないですしね。


 前置きはこの辺にして、カクヨムにおけるミステリでの生存戦略を色々書いていきます。



① 他の人の作品を読みに行く


 いきなり元も子もなさすぎますが、結局これが一番効果的です。仕方ない。他の人の作品をしっかり読んで応援なりコメントなりを残し、面白かったらお星様をぶん投げるのです。


 こちらはWebでミステリを書くなどという戯けた暴挙に出ているわけですから、読まれたいなら先に読めという話です。


 あ、星爆・ハート爆は絶対ダメね。僕の作品に対してやってきたら……ブロックまではしないけど信用が全部吹き飛ぶよ。


 しょーもないアドバイスですが、ミステリを読んでもらいたければ、他の人のプロフィールからミステリ好きかどうか確認したらいいです。


 異世界やラブコメに支配されているこんな場所でミステリを愛する奇特な人は、大体「ミステリが好きです!」とプロフで宣言しています(笑)。


 あとはミステリを精力的に執筆されてる方なんかも良いですね。



② とにかく謎を最大化


 最初に断っておきますが、これは僕が推奨している内容ではありません。あくまでカクヨムで読まれたいという場合の話です。僕自身は謎より解決のほうが大事だと思っています。


 ただ、あくまで読者を呼び込んでPVや星をもらいたいという前提なのであれば、一旦謎を大きくするのが先決です。理由は単純で、解決は最後まで読まないと分からない一方で、謎はキャッチコピーやあらすじ欄に書けるからです。


 ミステリに限りませんが、カクヨムではキャッチコピーが非常に重要です。色が付けられるしタイトルより大きく表示されますからね。


 で、キャッチコピーに何を書くべきかというと、実は「驚愕の真相!」や「大どんでん返し!」は微妙です。カクヨムのミステリジャンルは残念ながら玉石混淆で、解決編をネタバレなしに大々的にアピールしても信用されないからです。


 では何を持ってきたらいいかというと――謎を載せるのが一番手っ取り早いです。


 例えば「なぜ被害者の右目と左目は入れ替えられていたのか?」とかですね。


 もちろん他にもっと魅力的なキャッチコピーが思いついたらそちらにしたらいいですが、魅力的な謎を載っけとけばとりあえず読者は集まります。……最低なこと言ってるな今。


 まぁそれは置いといて、これは割と実体験としてあります。『ホンダナパズル』や『僕と彼女が咲く季節』のPV数やお星様が少ないことですね。それぞれのキャッチコピーを見てみましょう。


『ホンダナパズル』:「『アオハルパズル』第1弾!――ミステリはパズルだ。パズルは青春だ」


『僕と彼女の咲く季節』:「僕はあの夏の日、一人の心優しい女の子に出会った」


 ……キャッチコピーやる気なさすぎて草。こんなことしてたら読まれるもんも読まれんって。


 ではお星様が多いほうから順にキャッチコピーを見てみましょう。


『純然たるフーダニット』:「PVを稼ぐためなら手段を選ばない男の物語」


『あなたは犯人です。』:「あなたは殺人犯になりました。命を懸けて推理してください――」


『Q. 彼ピはなぜイクラばかり食べるのか?』:「タイトルの謎に対して示される二つの解決。未曾有のイクラトリック炸裂!」


 『純然』は謎をキャッチコピーに、『イクラ』は謎をタイトルにしていますね。『あなたは犯人です。』は謎というよりゲームブックという形式が推しポイントなのでこういうキャッチコピーになりました。


 結局のところ推しポイントをキャッチコピーにすればいいのですが、推しポイントが「解決編」である場合、ネタバレ回避のために誤魔化さざるを得なくなって不利ということです。


 でも忘れないでほしいことがあります。謎で大風呂敷を広げて解決編がショボい場合ですね。僕はこういう小説を勝手に「頭でっかち」と呼んでいます。


 頭でっかちな小説の場合、その作品自体にPVや星が入りやすいのは事実だと思います。というのも、星は面白い作品というよりは読まれた作品に入るからです。(書き手の多くは、せっかく時間をかけて作品を読んだなら星を投げて恩を売っておきたいものです)


 しかし作者本人のフォロワーは増えにくいと思われます。信用が失われますからね。僕もそういう作品を書く方は信用できません。


 長い目で見ると自作をたくさん読んでくれるのはフォロワーさんなので、頭でっかちな小説はトータルでマイナスになり得ます。


 要は解決編もちゃんとやれ、ということですね。


 ミステリを読んでくれる方は貴重なので、大切にしなければなりません。信頼を保ってフォロワーさんを手放さないようにするのだ(自戒)。考えろ、考えろ。誰も見たことのないトリックを。



③ カクヨムでしかできない設定にする


 これはここ数ヵ月の間に発見した方法です。星稼ぎやPV稼ぎを題材にしたり、近況ノートやあらすじ欄を利用したり。商業小説では読めないようなトリッキーな内容を書くと人気が出やすい気がします。


 あまり設定が発掘されていない分野でもあるので、一度考えてみるといいと思います。思わぬところで前例のない設定を書けるかもしれません。


 僕も最近こういうのをこっそりやりまくってますね。いやバレバレか。



 もっと思いつくかと思ったんですが、ミステリ特有の戦略は案外ないかもしれないですね。読みやすいように一行空けで改行しまくるとか、視点はブレないようにするとか。こんなん他ジャンルでも変わらんし。


 結局のところ、小手先でどうこうするよりも「他の人の作品を読みに行って評価する」が最強なんですよね。ランキングに載らないことには何も始まらないので、ともかく作者フォロワーを増やすことが大事だと思います。


 ミステリーはちょっと星をもらうだけで簡単にランキングに載るので、個人的にはとても楽しいです。皆様もカクヨムミステリーライフ、いかがでしょうか。

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天野純一のミステリの書き方 天野 純一 @kouyadoufu999

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