第20話:修行仲間とポケットダンジョンタワー・前編

「たっ、助けてくれぇ!」

「いやぁ、魔法が全然通じないわぁ!」

「儂の研鑽が、修練が、このドラゴンにとって通じないのかぁ!?」

「刀が折れたぁ! 私の妖刀が折れたぁ!」

「リオスぅぅぅぅ! 本当に初級かぁ!? 初心者向けなのかぁ!?」

「大丈夫ですよ、レベル70くらいの赤竜レッドドラゴンなんて、朝飯前ですよ! もう直ぐ、晩御飯ですけど。」

「その赤竜レッドドラゴンが五、六匹居るんだけどぉ!? 勝てるかボケェ!!」

 どうして、グロリアと愉快な仲間達が赤竜レッドドラゴンの群れに追われていたのか、それは数時間後に遡る。


「何で、お前たちがここに?」

 グロリアは意外な面々と再会していた。

「リオスの兄貴に誘われて、来たぜ! 前は悪かったな、一方的に文句ばっか言ってな。」

「リオス様の頼みとあらば、馳せ参じるわ!」

「エアノーラ様に魔法の神秘をご教授頂く参上しましたわい。」

「私はお爺様に修行を付けて来いと言われ追い出された時、偶然、リョーマ様に出会ったので、これかはよろしくお願い申し上げますわ。」

 アドベン都で別れたはずの武闘家ファイターのオルトと魔女ウィッチのミーナス、

潰れてしまった元王都一の魔法屋【バストン魔商店】の老魔導師、『ダーブル・バストン』、元王都一の鍛冶屋【頑鉄の魔剣】の看板娘のイワカが彼女の前に現れた。

「どうして、皆がここに?」

「それはグロリアさんがチームワークを通じて強くなる為です。一人で強くなるのは寂しいですし。」

 リオスはそう言って、特級魔法鞄スペリオルインフィニットバッグから黄金の円壁と白銀の丸屋根が十個も重なった塔の模型のような特級魔具スペリオルマジックアイテムを出す。

「これは何だ?」

携帯迷宮塔ポケットダンジョンタワーです。携帯できるダンジョンでRkランクのの難易度に応じて環境が変わる十階層があります。」

「何だと、英霊郷ヘロアスファリアの人間はダンジョンを持ち運べるのか!?」

「こりゃ、面白そうじゃねぇか!」

「何という魔道具じゃ! 流石、英霊郷ヘロアスファリア古代先進技術オーパーツじゃ!」

「万が一、この中で死んでも、ステータスを犠牲にして、安全帯セーブポイントで生き返ることが出来ますし、この中での一日はここでの一分に満たないので、時間を気にせず、出来ます。しかも、この中での野宿は僕が三食おやつ付き、道具や武器の整備など僕に出来ることは何でもサポートします!」

「リオス様が居るなら百人力ですわ!」

「あっ、僕は自分のパーティーと一緒にRkランク1の階層までクリアしてますので、あくまで皆さんの監督役で、戦闘には参加出来ませんので、悪しからず。」

「分かった、リオス。指導のほど、よろしく頼む!」

「我が愛しき妖刀、妖斬丸あやきりまるの錆にしてくれますわ!」

「さぁ、修行し直しだ! 腕が鳴るぜ!」

「私の偉大な賢者への一歩を踏み出すわ!」

「この若かりし頃に呼ばれた魔の叡智と賞賛された儂の腕の見せ所じゃ!」


 リオスを監督役としたグロリアパーティー一向は携帯迷宮塔ポケットダンジョンタワーの一階層に入ると、そこは青空の光が差し込む深き森の中であった。

「案外、普通ですわね。もっと、おっかない所かと思いましたわ。」

Rkランク1って、Lvレベル100のことだろ。それって伝説級レジェンド以上神話級ミソロジー並の剣聖や賢者、救国の英雄ぐらいってことだろう。でも、此処じゃ拍子抜けじゃねぇか。」

「いや、待つんだ皆。何かがいるぞ。」

 グロリアの指摘通り、森の奥から血の匂いが立ち込め、騒がしい戦闘音が流れた。

 急いで、その場所へと向かい、グロリアたちが見たのは小鬼ゴブリンの群れと赤竜レッドドラゴンが戦う光景だった。

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嫉妬狂いの冒険者、チーマ(チートMAX)な仲間達と真の戦いに挑む! @kandoukei

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