夏デートラブコメオーラ誘い出せ作戦

そんなこんなで、少しばかりのおめかしをしたTS娘と、その友達は街を行く。


「くっ…やっぱこの服装落ち着かねぇっ…ふわふわというかひらひらっていうか…。」

「普段から制服でスカートは履いてるだろ。そんなに変わるものか?」


「あれは義務感でつけてるし、下に短パン履いてるからな。気にならん。」


さて。

ある程度家を出て。

街を歩き。


住宅街を歩き。


店先を歩き。


歩き続けて…



「…ってどこまで歩くんだよ!!!旅番組の企画かよ!!」


「おぉどうした志摩。…デートってただ歩くだけじゃダメなのか?」

友崎のあんまりにもあんまりな回答に、志摩はあきれた。


「お前な。こういうのは普通、目的地とか決めてそこでわーきゃーはしゃいだりして思い出を作るもんなんだよ……だよな?」

当然ながらこの二人、年齢イコール相手いない歴である。

参考資料も攻略w〇kiもございません。


「オレに聞かれてもな。だいたい恋人って、『一緒にいる時間を過ごすだけで幸せ~♡』とかいうやつなんじゃないのか。」

「それはある程度進展したカップルの場合な?それかすぐ燃えてすぐ冷めるタイプの奴。」


志摩も志摩であんまりなことを口にする。


「そうか。んじゃ志摩は、なんかいい場所知らないのか?」


「…これって一応デートなんだよな?こういうのって男側がエスコートするもんじゃないのかよ。」


「…お前、だいぶ自分が女子として扱われても平気な感じになってきてるな?」


瞬間、志摩の目は死んだ。

「毎度毎度ああやって服装いじられてたらね…フフフ…お前も味わってみるか?ミニスカにされたり髪いじられまくったり化粧されたりするの…。」

「お、おぉ…」

放課後のたんびに壮絶を絶する扱いを受けている志摩を見ている友崎は、それ以上は何も言えなかった。


「おし。じゃあ水族館。」

「え?」

「デートっぽくはあるだろ?」


そんな志摩の適当な提案で。



二人はイルカのショーによりずぶ濡れとなった。


びっしゃびしゃの状態で、上機嫌に志摩は言う。

「ひゃー!濡れたな!!」

「大丈夫か?」

「今日晴れてるし、軽くふいとけばあとは乾くだろ!えーっと…げ。拭けるのがねぇ。」

「ハンカチなら貸すって。ちゃんと拭けホント。」

やや乱暴な手つきで、友崎は志摩の髪を拭いた。


「そんで~、次のそれっぽい場所は~…こことか。」

「展望台か。まぁ近いしいいんじゃないか?」


───

海辺を一望できる展望台。

そのてっぺんまで登った二人でしたが。

そこには情けない声を出しながら女子(?)を引っ張る男子の姿があった。

「やだ無理怖い戻ろう戻ろう」


「お前の腕力で引っ張るなって伸びるから…!あっすいませ~ん何でもないですアハハ…。高いとこ苦手なら先に言えよ!」


「そっちの行きたい所に行くと決めたのはオレだからな。銀行強盗までなら付き合ってやるぜ。」


「友崎…足ガックガクでそれ言われてもかっこよくねぇぞ…。」

すぐ降りることになるのでした。


「さーて。次は~…」

「…おい、あれ見ろ。」

「あ?どした友崎。」


そんなさなか、友崎が指さした先にいたのは、

仲良さげに知らない男と連れたって歩くギャル、不二華がいるのでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ギャルゲーの主人公視点じゃない奴 箱屋 @hakogiya85

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ