エピローグ

 大学1年の夏休み、おれと理央は大濠公園を一緒に歩いていた。大濠公園は大きな池があり、その周りをランニングする人、犬の散歩をする人がいてのどかな雰囲気だ。

 2人でベンチに座る。

「いいところだね」

 理央が池を見ながら言った。その声に励まされる。今しかない。

「好きだ」とおれは言った。もう、遠回しに言いたくなかった。

「あの日、抱きしめた時から、いや、もしかしたら初めて会った日からかもしれない。理央のことが好きなんだ。今日から友達ではない関係になってほしい」

 理央は黙っておれの言葉を聴いていた。そして微笑んだ。

「私からそう言いたかったのに」

 理央はそう言って立ち上がった。

「じゃあ、健人君。最初のデートの場所は美術館にしようよ。すぐ近くにあるし」

 おれはうなずいた。

 2人で歩き出す。数分前とは違う関係で。


 おれは思う。この人生で本当に良かったと。

 理央がおれの手を握った。

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Regainーともに歩き出すー @maki33

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