第131話 追撃
ついに満月の夜を迎えたヘイアン。
「——あれじゃ、
追撃する
「まだじゃ、あるての。まだ
思惑あって、鷲尾院が、そっと口角を上げる。
「……カミ ノ オオセ ノ ママ ニ」
再び火の国の武器を懐に入れたアルテノが、鷲尾院の腰に腕を回しながら、再度馬を走らせた。その後を、
「月の者らを
石切皇子の指示が飛ぶ。山林を逃げ回る車の後を追い、鷲尾兵らが追撃する。
「見えた! あれが神社ぞ!」
月光が差し込む中、山の上に
「……
「……ふ。ふふ。ふははは!」
馬から降りた石切皇子と、車から出てきた、三人の貴公子。御者に扮していたのは、
「……
「おのれ石切皇子よ、我らを
いきり立つ是枝に、「騙されるそなたらが阿呆なのじゃ」と、幼い頃に
「……もう終わりになさいませ、叔父上。兄上は、決して
「言いたいことはそれだけか、
余裕の表情を見せる鷲尾院に、ぐっと石切皇子が喉の奥を鳴らす。すかさず、四人の貴公子らも銃口を鷲尾院に向けた。
「執拗にかあや姫に求婚し、その想いが伝わらぬからと、命を
満仲に問われ、石切皇子が、ふんと笑う。
「確かに対立はした。手に入らぬならばと、その命を奪おうともした。されど、心身共に熱く狂わされた
真剣な面持ちで、石切皇子が言い放つ。他の四人も同意見だ。
「愛? ……ふん。愛など此の世に存在せぬ。此の世にあるは、生きる苦しみだけじゃ」
「叔父上には分かりますまい。叔父上は、真、
その言葉に、鷲尾院はぷつんと糸が切れたように、首を落とした。冷酷非道な眼光を放ち、アルテノに命ずる。
「……良い、あるての。
「……っ」
危機を感じ取った五人の貴公子らが、一斉に銃を放つ。しかし、あっという間に弾切れとなり、その直後、鷲尾院に従ったアルテノの攻撃により、五人の体が、赤色のレーザービームにより貫かれた。
「なっ……」
血反吐を噴いた五人の貴公子らに、満仲は、そっと瞼を閉じた。
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