第79話 呪い返し
夜も更け、『
『——我が
「最高の仲間……。私の方こそ、最高の主、最高の友と出会えて幸せにございます。我らを仲間と呼んでくださるのですな、
そっと主や友に想いを寄せ、『火の国の襲来』という題目の日記を書き終えた。
「さて、残るは
さかのぼること、冒頭——。王立図書館でクシャミをした、水影。
『——
『よもやあの巨漢が私の噂を……? 許すまじ、春日安孫。末代まで呪い続けてしんぜよう』
完全なるとばっちりで、安孫は、水影が
『——その余裕、
「安孫殿を強く我が一等愛する者として想うてみたは良いが、肝心な折に
そう言うと、水影は両手にて
「貴殿は
水影がしたり顔を浮かべている満仲が、ずらりと並ぶ公卿衆らの前で、口元を扇で隠し、うっすらと笑った。
「して、都に戻られし、天才陰陽師——不動院満仲殿は、
公卿衆の筆頭——九条是枝が、黒と白の狩衣姿の満仲の腹を探る。
「左様。わしは主上が瑞獣——霊亀。未来が吉兆が占えてこそ、我が能力は発揮されると言うに、主上ときたら、あろうことか、わしに諸国全般の妖退治を命じられた。真、我が主ながら、先見の
大袈裟に満仲が悲観ぶる。その時、不意に掌に痛みが走った。見れば……。
「っふ。流石は我が宿敵、三条の。我が強力な呪いを返してくるとは……よもや死んだか? ……
「満仲殿? 何をごちゃごちゃと申されておる? 真、貴殿は、我らが
苛立ちを見せる是枝に、「ええええ、ありますとも」と満仲が扇を畳み、はっきりと言う。
「烏丸衆——禁中に掬う闇の一団。左様なうすら寒い暗躍衆でこそ、わしの力も発揮されよう。わしは、公達は嫌いじゃ。されど、我が主——主上がことは、もっと嫌いゆえ、この天才陰陽師——不動院満仲が、烏丸衆が悲願を叶える手助けをしてしんぜよう」
自信気に言い放つ満仲が、左腕に刻まれた霊亀の刺青を掴む。
「まずは、
満仲の提案に、「貴殿がおれば、百人力よ」と是枝が不敵に笑う。満仲もまた、ばしっと開いた扇で口元を隠し、にっと笑った。
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