道具虫

先輩は言う「剪蟷螂の類って子供のせいか、クソガキ。ってか剪蟷螂って切れ味抜群のはずじゃないっすか。」俺がポカーンとしていると師匠が言った。「こいつ新人でむがっち教えてやってくれよこの業界を」なんて言うもんだから無我さんは張り切り長い話を始めた。まずは剪蟷螂の話からしよう。剪蟷螂はカマキリがハサミで殺された時に生まれる妖怪だ。他にも岩水黽、靴芋虫などその生き物を殺すのに使った道具+生き物が名前の非科学的生物はまとめて道具虫と呼んでいる。奴らは生き物を襲う。どんなに温厚な草食動物でも襲ってくるんだ。例としては狩人がシカを撃とうとして銃を撃った。だが、銃弾は外れダンゴムシを貫いた。銃鼠婦。1972年長野県超自然的事象局が壊滅状態に追い詰められた。この銃鼠婦のせいだ。まあ、道具虫はよくいる。今回は一課案件だ。だが、君たちが呼ばれただろ。それはなにか分からなかったからだ。岩戸ちゃんが言った通り鋭い切れ味になると思う。今回のやつは切れ味が悪かった。だから噛み千切ったと思い込んだんだ。俺が「その剪蟷螂って殺された道具が手足になるんすよね」と訊くと少し躊躇いながら無我さんは「あのカマキリは切れ味の悪いハサミで潰されたんだろう」と言った。

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