真意

非科学的事件鑑識四課の課長を務めながら高校の歴史を教える彼こそが無我直紀である。課長と言っても実力は部長レベルだ。「てゆーか今回の化け物全然獣じゃないじゃないですかイメージと違うっていうか」先輩が言うと口を開いたのは男の方だった。「剪蟷螂の類だろ」先輩は見抜けなかったのだろう。獣系の非科学的生物が噛み千切って猫が死んだと思っていた。だが、師匠は見抜いていた。あとで聞いた話だが、写真を見て血潮の出方と散乱した猫の毛や頭の器官から何度もかみ砕いたと考えたそうだ。そして噛んでいるのではなく、少し鋭利なもので押しつぶしたと考えたそうだ。そこまで想像がつけばこっちのものだと師匠は三日月宗近でぶった切ることにした。師匠曰く、手の先が、武器になっていたりする非科学的生物は付け根が弱い。だからこういう時は刀を使うんだ。でも、獣系には使っちゃいけないよ。すばしっこい奴や切ると分裂するやつ。全体が硬く、逆に刀が折れることもあるからね。と笑った。俺は師匠の特異な予知能力で見ればよかったのにと笑うと「実は使うたびに」と言いかけてどこかに行ってしまった。

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