依然

僕はその後も中学に行っても言われ続けた。高校は人が多い所にしようと都内の高校に入った。そこの歴史の先生が無我さんだったんだ。僕の恩人だよ。やっぱり一度テレビに乗ってしまったら結構知られてしまう。高校でも何度か話しかけられた。知っているようで変な顔をされたこともあった。今でもたまにあるんだ。でも無我さんがこの仕事を教えてくれて僕はこの目にきちんと向き合おうと思えた。まだ、生きていたいから。そう言って笑う。「お前も彼氏作るんだぞー」そう言って僕は仕事も本気なんでと言い。言ってしまった。「なんだよあいつ彼女できたんか」と不貞腐れる先輩を見て笑った。「覚えてるかぁ」見ると白髪混じりのイケメンがいた。左頬に切り傷があるがそれすらもかっこよく見えた。イケおじだ。「無我さん」先輩が言う。春ぶりだなとしわを寄せる。隣を見ると師匠もいたようだ。「なんだー二人で話してたんですか」という問いに師匠が「久しぶりだったから思ってたよりも話が弾んじまった」と笑う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る