盛者必衰

ある時「そうえばぼく。ゆうれいとかみえるよー」と言ったのが始まりだったのかもしれない。もしかしたら最初の取材から歯車はずれていたのかもしれない。幽霊が見えると言い始めた僕は見えているのではなく透視なんじゃないかとか、やらせだろ。といわれるようになった。ちょうどその頃、最初に出演したテレビが放送した。スタジオの芸人たちは「マサイ族からこの子引き取ったんじゃないの」だとか「俺―目ぇ普通でよかったー」とか悲しい言葉を吐き続けた。学校に行くと「背の低いマサイ族」だとか「目だけ良いとか使えねー」と罵倒された。でも当時僕が好きだったミカちゃんは僕に「大丈夫?相談乗るよ。私君のこと好きだから」と告白してくれた。四面楚歌だった僕はミカちゃんに撃ち抜かれた。「こちらこそ大好きだよ」初めて人を好きになった。「やっとじゃん。やっぱかわいい子が好きなんだーきもー」とみんなが集まってきた。「お前のこと誰が好きなん」とミカちゃんは吐いた。困惑する僕に傍観していた一人が言う「だってお前バケモンじゃん普通見えないんだよキモイわ」その言葉に皆笑う。

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