第143話全盲の精神科医

 今、NHK+で「全盲の精神科医」というドキュメントを見た。精神科医というと、すごく大変な仕事のように見えるのに、さらに全盲とは。大変だろうなと思い、思わず見てしまった。

 福場将太さん、43歳。32歳の時に全盲になり、しかし、医師を辞めずに頑張って働いている。

 独身で、一人暮らし。自炊も自分でやり、すごくしっかりしている。

 そんな福場さん、患者さんとは世間話を大切にしている。病気のことだけでなく、世間話をすることで、その病気の背景にあるもののヒントがわかるという。

 福場さん、ギターを弾きながら歌うのが趣味で、患者さんとの合唱会なども開き、楽しそう。目が見えなくて、落ち込むこともあると思うのだが、あくまで前向き。歌を歌って、リフレッシュして、今日も職場へ向かう。

 福場さんと話す患者さんがとても、生き生きと自分のことを話す。つらいことも、この先生ならば話せるという安心感があるのだろう。

 福場さん、目が見えないぶん、患者さんの声を聞き取ることを大切にするという。声には、その人の体調がよく現れる。福場さんはそこに焦点を集中させ、患者さんを理解しようとする。

 福場さん、仕事をしようとする人に、「つらくなったら、すぐに仕事を辞めるのではなく、続けるために、私と問題に向き合いましょう」という。

 安易にすぐ仕事を辞めるのではなく、続ける工夫が大切だと言う。福場さん、優しいだけではなく、こうして、時に厳しく問題に向き合うことも勧める。

 ああ、こんな先生だったら、自分のつらいことを正直に話せるなぁとちょっと患者さんがうらやましかった。

 くじけそうになったら、独りで抱え込まず、周りの人々に頼りつつ、前へすすむ。そういうことが、大切なのだなぁ。

 

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