【第三話】彼女は顔の良いかまってちゃん。:一夏愛.txt

 私の名前は一夏愛。ひとなつと書いてイツゲと読む。あいと書いてメグムと読む。

 声に出すといつげめぐむ、になる。

 少し変わった名前。そして、私自身変わっている。

 自分が他人とは変わっている、と言うのは我ながら自覚しているつもりでいる。

 だって小さい頃からそうだったし。

 周りの人間とはあからさまに違っていた。

 まず私は性に奔放だった。

 興味もあったし、その行為自体が好きだったし、分け隔てもなかった。

 私の恋愛対象、というよりは性の対象、かな? それは、異性の男だけじゃなかった、同性である女に対してもだった。

 とにもかくにも顔のいい人間が好きだった。

 男女の差なく分け隔てなく愛せたし、愛されてきた。

 あっ、いや、嘘だ。私がちゃんと愛せていたかどうかは、よくわからないかも。

 まあ、それはともかく、中性的に、それでいて美しく生んでくれた親には本当に感謝してるよ。

 だって、見た目って思った以上に大事だもの。

 今の自分の、この見た目がなければ、要はもててなければだけど、今頃私、絶対性犯罪者になってたかもしれないしね。

 性に奔放というか、性欲がただただ強いだけなのかもしれないけど。

 そんなわけというわけでもないけど、今付き合っているのは男ではなく女なんだよね。

 同じ大学で同じサークルの顔が良く、かわいかった娘。

 遊びのつもりで誘ったら、割とちょろくて女同士だったけど、即OKだった。

 女同士の事柄にもまるで抵抗がないところを見ると、同性も私が初めてじゃなかったのかも? と疑いたくなるが、本人の話では女同士は私が初めてだったらしい。

 まあ、その割には積極的でエッチな娘だけど。

 私はエッチな娘は大好きだし、何より顔が良い。

 私的にはドストライクな子だ。

 しばらくは千春で良いって感じかな。いや、もう結構長いかも?

 まあ、私のことだから、いつ飽きちゃうかわからないんだけど。

 どうしょうもなく飽き性なんだよね。

 これもまあ、私ということで。私はそういう人間なんだよ。

 千春はかまわれたがりの女だから、別れたくなったら、少しほっておけばすぐに自分からどっかに行ってくれるでしょう。

 そういうところも都合が良くて好き。

 そう言えば千春が昨日、同郷の知人に会ったって言ってたな。

 あんまり好きなタイプじゃないのに好意を寄せられてるから、諦めさせるために同棲のこと言っちゃったって言ってたけど。

 同性同士の同棲ってバレたら諦められないんじゃないの? それ。

 私的には、その彼だか彼女だか知らないけど、それも交えても問題ないんだけどね。だって、そっちのほうが絶対楽しいし気持ちいいよ。

 でも、千春は嫌そうだし、それならやめておくかな。

 千春が乗る気なら、全然ありだけれどもね。

 まあ、そいつに千春を譲るつもりもないけどね。

 どんな奴だろうね。

 隣に引っ越してきた陰キャ君だったり? あれ? どっちの隣だったっけか? どっちかは大家が住んでいるはずだけど。

 まあ、いいか。そんなどうでもいいこと。

 でも、あの隣人も確かに千春が嫌いそうなタイプだよね。

 私は全然いけるけど。むしろ、ああいうタイプって私の好きなように操れそうだしね。

 言い方は悪いけど、奴隷君って奴だよ。優しいだけの絶対YESマンって言ったほうが良いのかな? それとも貢君?

 まあ、どれも一緒でしょう。

 けど、そういう奴は、千春からすればつまらないだろうね。

 だって、千春はかまって欲しがりのくせして、自分からは絶対に何もしないし。

 なんにしても千春は相手任せなんだよね。

 とはいえ、打てば響くところはあるから、私は好きだけどね。

 あー、でも少し楽しみだな、千春とその相手、ぜひとも交えて色々してみたい。

 ドロドロしたのも私、大好物なんだよね。

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