2-12 授業開始 いねむり

 疲れた。・・・


 もう言われた仕事は終わった。これから言われそうな仕事も対策はしてある。


 少し仮眠しよう。

 あぁ・・・この時間「妖精学」の講座が有ったのだけど、場所が遠い。

 今から間に合うか・・・いや行っても睡魔に勝てない可能性がある。


 もう潔く仮眠する!

 私は自席で突っ伏して仮眠を始めた。


 案の定。妖精体になってしまう。体は寝ているからいいのだけれど。もう妖精体で講義聞きに行くかな?授業もう始まっているから。人通りは少ないし。


 私は人通りの少ない所を通り抜けて妖精学の講座へと忍び込んだ。そっと教室を覗き、教室後ろ側の目だたない席を選んで座った。

 この姿の弱点は、筆記用具を持って来れない事だ。なのでノートを取れないので、ノートを取る振りをしながらひたすら聞いた。近くの生徒の教科書を覗き見せてもらいながら講義を聞いた。

 講師の話を聞いていたら、彼と目が合ってしまった。しまった。彼は見える側だ。


「おや、妖精の話をすると妖精がやってくるみたいですね。この学院内にも妖精は沢山いますので見かけたら仲良くしてくださいね。それでは今日の授業はここまで。」


 人が動き出す前に帰ろう。私は壁をすり抜けながら急いで研究室に戻る。


 仮眠ではなくなってしまった。部屋に入り私の体を見ると、肩から先生の上着がかけられていた。それに机にはお菓子が置いてある。しまった。眠っているのがバレテしまった。


「戻ってきたのか。」


 先生が自身の席に座りお茶を飲んでいた。


「居眠りしてすみませんでした!!すぐ戻ります」


 慌てて体に戻り飛び起きた。私に掛けてあった上着を先生に


「上着ありがとうございました。仕事ありますか?」

「ああ、頼もうと思っていたのが机に置いてあったからもらったぞ。あとこれとこれと・・・・」


 ひぃ!多い。


 ◇三日後◇

 

 今日もチャトルルと私の三人で学食でランチをしている。


「ねぇチャト、最近の噂聞いた?」

「あぁ~!妖精の話?見える子は言ってるねぇ。」

「何か新しい伝説が本当になってるの?」


「そうそう、学内に黒い妖精が現れるみたいで、はっきりは見えないらしいけど時々教室の後ろに座っているみたいだよ。妖精学の授業で、それをよく見るんだって。」

「噂だと、授業中眠っている人を狙っているとか・・・。だから最近、眠気覚ましが人気なのよね。購買で売り切れていたわ。」


 黒・・・教室の後ろ・・・妖精学。これは私の事かもしれない。見える人いるよね。しかも、噂に尾ひれ背びれまで付いている。

 

 眠っている魂は狙っていないし、むしろ近づいてもいない。近づくと夢に入ってしまうからそんな危ないことはしない。ちなみに私は普段ローブを羽織っているので翼はすっかり隠れてしまっている。


「そんな噂が・・・全然知らなかった。本当にあるんだね。」

「まあね、自然にいる物だから珍しがることではないのだけれど、今期は目撃数が多くてね。旧館の資材室や、時計台にも出るみたいなんだ。ただ何もせずこちらを見ているだけ見たいだけど。」


 旧館資材室と時計台・・・そこは私がまだいったことが無い場所だった。通過すらしていない。ここまで噂になっているなら、昼間は活動を控えるかな?どちらにせよ細心の注意を払おう。


「そういえば、チャト。アクセサリーの方はどうなのよ?順調?」

「そうそう~!おかげさまで予約枠が埋まったから、今絶賛制作中だよ~。研究室の皆、空き時間に工房で黙々と作っているね~。今年は珍しく教授までアクセサリー作っているよ。そのうち授業も実技式で、アクセサリー作りながら展開していきそうな勢いだね~。私今日から放課後工房借りて作成するんだ~。」

「アクセサリーどんなふうにできるか気になる!見に行っちゃダメ?」


「ふふふ~、いつもなら歓迎だけどこの時期は秘密なんだよね~。見せられるときに呼ぶよ。」

「そうなんだ。分かった!制作頑張ってね」


 そう言われてしまったら仕方ない。

 ランチ後3人はそれぞれ授業へと向かった。

 しかし、人ならざる者の目撃は増えるばかりだった。

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