2-07 オリエンテーション(前編)

 今日は短期公開講座前のオリエンテーションだ。


 講師陣、助手陣が一堂に集まる。

私も先生にともない参加する。こんな所は会社員時代を思い出す。


 学院内の講堂で開催されるが、大きな講堂に人が一杯で遅れて来た人は席に座れないほどだった。一体どれだけ多くの講座が開催されるのだろう。講義を選択する方も一苦労である。


 さすが国一番の魔術学院。


 説明会は講義の時間割や全体スケジュールの再確認だ。この説明会を直近に開催しなくてはならない程、学院はカツカツなのだ。


 今日は日本で云うところの金曜日、授業は月曜日からだ。週休2日で日曜日は学院全体が休み。後の休みは人それぞれ変わってくる。一か月で約20日間の日程だ。


 単位認定方法は様々で、講義のみの他、テスト、レポート、作品提出、実技試験などで私も学生時代に聞いた耳の痛い言葉達だ。


 助手の仕事は、講師陣のサポートや資料準備、受講生のサポートやケアなど多岐に渡る。あれ?これガチで忙しい奴かもしれない。


◇◇◇


 説明会も終わり、お昼になった。

 私と先生は、ぐったりしながら学食へ向かった。学食に行くと聞き覚えのある声が聞こえた。


「お~い!マヤ~!エスタ先生~!こっちこっち~!!」

「あら!マヤ!良かったわね!先生もこんにちは!一緒にお昼はいかがですか?」


 奥のテーブルで手を振る影が有った。チャトとルルだ!二人は丁度ランチを食べ始めるところだった。


「チャトルル!会いたかったよ!」

「二人ともお久しぶり、ルルさん学校再開して良かったね。チャトさんは魔法装具研究室の公開講座かい?」

「そうなんですけど~、教授が人手が足りないって騒いでいて。OGの僕も手伝いをしているんですよ~。」

「先生は何の講義されるんですか?」


「僕は古典魔法研究室の臨時講師をね・・・じゃあ僕は用事が有るからここで。じゃあな、マヤ。」


 彼はそう言い残して足早に去って行った。用事?・・・何も聞いてなかったけどなぁ。まあいいや。それよりお腹減った!


「ねえねえ、二人とも。学食のおすすめって何?私お腹減って何も考えられない・・・。」


 チャトルルおすすめの逸品を頼んで、やっと私も昼食だ。学食懐かしい!!


「マヤも一緒に学院に通えて嬉しいよ~!」

「そうね、良かったじゃない。どこの研究室に所属してるの?」

「私は先生の助手役で通うことになって。でも受講者登録もしてあるから空き時間に授業聞きに行って良いって言われてるの。おすすめの授業有る?」

「そうね、基礎魔法の初級中級はいいと思うわよ。分かり易い先生が担当されてるし、それに今後何か資格を取るのにその2つは必要よ。後は・・・」


「ルル、この後の実習教室変更だって。」


 初めて聞く声だった。

黒い学生ローブを纏った青年だ。ルルと同じ位の歳だろうか。ブラウンのマッシュウルフで深緑と赤紫の綺麗なオッドアイの瞳を持っていた。どこか人を寄せ付けない雰囲気を持っている。


「何よアレックス、教室どこ?」

「旧館一階実習室だって。珍しい、友達?・・・はじめまして俺、同期のアレックスです。」

「魔法装具研究室のOG、チャトだよ。よろしく~。」

「古典魔法研究室、臨時助手のマヤです。よろしくお願いします。」


 彼にならって、チャトと私も自己紹介する。そんな私たちを見てルルがワナワナとし始める。少し顔が赤い。私達は顔を見合わせてテンションが上がる。


「「か!」」

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