第14話 七草粥の憂鬱(七草粥二部作①)
その日は七草粥。
御節のハッキリした味わいの料理にびっくりしているお腹をお腹に優しい薬草入りのお粥で休ませてあげる日である。
ところがその日作る七草粥は普段とは少し違うようだ。
「あのよ。すずしろってなんだ?」
「大根だよ。悪かったなすずしろ呼ばわりでよ」
「だったら大根と名乗れや。なんだよすずしろって」
「つかはこべらって草じゃね?」
「雑草」
「何で食卓にあげたかな?」
「
「ちょ。言うなって」
「
「俺たち、もう喰われるのだな」
「ああ。斬り刻まれバラバラにされ、鍋という業火の湯に放り込まれヒュームの腹に啜り落とされて行くのだ」
「ただの雑草なのに口惜しや」
「それはこべらは泣いてもすずしろの涙は認めねーよ」
「お前、大根だから元々食材じゃねーか」
「でも食材なのは皆同じだ」
その様子を見ていた家の人は食べるのを躊躇う。
「聞こえる!食材の声が聞こえる」
なんかグルメアニメの台詞になりそうな事を一声あげると、そのまま刻んでお粥を作り始めた。
「おお痛い!ヒュームどもめ。我々の恨みを果たでおくべきや!」
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