『じゅうでんしんじ』 その7


 ぼくは、泌尿器系の病気があるので、お手洗いがやたら、近いのである。


 自宅工場には、21世紀に作られた、大量の『紙パンツ』を所蔵していたが、それは、今ではもう、作ることができないものなのである。


 しかし、今日は、こんなことは想定していなかったから、小さな紙パッドを手提げカバンに1つ入れていただけであった。


 夜10時前になり、ぼくは、最後のお手洗いを済ませ、パッドを交換した。


 午後10時。


 お堂に点っていた、ごく小さな明かりが消えた。


 すると、壁に彫り込まれた窪みにある神殿の頭に、ぽっちりと、赤い光が入ったのである。


 それは、ひとり、ぽつんと、暗闇に浮かび上がる。


 ついに、『じゅうでんしんじ』が、始まったのだ。


 神殿の脇には『須磨穂乃大御神スマホノオオミカミ』と、書かれた木札が掛かっていたのを、ぼくは見ていたのであるが、その意味は良く分からなかった。


 我が家の私設図書館には、太古の文書のコピーがたくさんあった。


 父は、そうしたものが、好きだったのだが、ぼくには、あまり興味はなかったのである。


 しかし、そうした古文書には、夕方ちょっと知ったかぶりした、『天岩戸のお話し』や、さらに、確か、似たような語感のお名前が、たくさんあったような気がする。


 しかし、そうした、感慨はすぐにぶっ飛んでしまった。


 出るわ出るわ。


 まあ、これでもかあ!


 というくらいに、これも、古い怪談本で盛んに目にしたような。あるいは、始めてみるような怪物のみなさんが、大量、大挙して、襲い掛かってきたのであった。


 神官さまから、けして動くなと言われているが、それは、無理と言うものだ。


 しかも、黙って襲ってくるわけではない。


 様々な叫び声や、非難の声を浴びせかけてくる。


 『うぎゃあ〰️〰️〰️✨』


 『おぎゅわ〰️〰️〰️〰️〰️〰️☺️』


 『なんだこりゃあ〰️〰️〰️。』


 『まいどお〰️〰️〰️〰️〰️〰️😁』


 『あの一億ドリムら、なんだあ〰️〰️〰️😲』


 まさに、


 百花繚乱。千紫万紅。


 破壊粉砕。百鬼夜行。千変万化。


 金鎖引切。自己嫌悪。幽霊悪夢。


 しかし、そうなると、まもるちゃんが黙ってはいなかった。


 ぼくは、まもるちゃんを、下着に隠していたのである。


 そこからは、あらゆる波長の光線砲が飛び交い、衝撃波が発射され、さらにバーチャルロボットが立ち上がり、ミサイルを撃ちまくったのである。


 さらに、侍や、勇者たちが現れては、互いに、激しいちゃんばらを繰り広げたのであった。

 

 もう、めちゃくちゃ。


 やり放題であった。


 さすがの妖怪たちも、タジタジになりそうにみえたのである。


 最後には、ばったりと、その、姿が途絶え、午前0時がやって来た。




    😱😱😱😱😱


 


 


 


 曖昧模糊。


 


 


 


 


 

 


 


 


 


 


 

 

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