『じゅうでんしんじ』 その4
ぼくたちは、村の正門はくぐらずに、裏側に回ったのである。
ちょうど、空は一転かきくもり、もうすぐに、冬の嵐が吹きそうであった。
雷鳴も轟きはじめたのである。
『おやまあ。大晦日に嵐で、ございますかあ。』
ひなこさんが、やや、薄気味悪そうに、かく、言ったが、絶世の美人にそう言われると、ぼくまでぞくぞくしてしまう。
いやいや。巫女さまに失礼はならぬ。
ぼくは、自制しながら、神社というか、お寺でもあったらしいが、その裏側に入っていったが、そのあたりは、深い林と言うか、もはや森と言うかであって、つまり、そこは、いわゆる『入れずの森』であった。
途中に門があり、がっちりと鍵が掛かっている。
『何人も、立入を禁ず。神官。』
と、立て看が出ていた。
すると、ひなこさんが、懐からキーを取り出して、あっさりと、開けてしまった。
『20世紀に作られた、電子ロックなのです。いまは、作れません。』
『はあ。』
ぼくたちは、まさしく、急激に気温が下がる中を、奥社の裏口に急ぎたどり着いたが、あたりには、ごろごろと雷鳴が轟き、やたらに冷たい風が吹き渡るようになったのである。
そこには、もうひとつ門がある。
ひなこさんが、それも、あっさりと開門した。
その内側というのは、もはや、別世界である。
太陽の光は、著しく減退した。
深い森のなかである。
魔法使いのおばさまが出てきそうである。
また、なにやら、あきらかに、いわゆる、伝統的な化け物が、出そうだった。
『うぎゃあ〰️〰️〰️〰️、』
ぼくは、思わず叫んだ。
お堂の横、ああ、そこには、信じがたいことに、髪を振り乱した半裸の女性が、立ち尽くしていたのである。
これが、妖怪ではなくてなんであろうか!
とは、思ったが、まさか、そんなわけはないよな。
と、考え直そうとした瞬間。
『危険感知。』
と、まもるちゃんがぼくにだけ聞こえる声を発して、その瞬間に、放電したのである。
『どっか〰️〰️〰️ん。 』
その女性と、ひなこさんが、卒倒したのであった。
⛈️
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