『じゅうでんしんじ』 その3


 ひなこさんは、とつぜん、ぼくの手を取った。


 『あひ〰️〰️☺️』


 『お逃げになりましたら、いけませんので。』


 『はあ。』


 女性に縁がないぼくは、どぎまぎしながら、引っ張られてゆくのであった。


 しかし、心配なのは、懐に潜んでいる、『超小型AIボディーガード、まもるちゃん』であった。


 『まもるちゃん』は、あらゆる感知器官を駆使して、ぼくの危機を回避するように設定されているのである。


 もし、ひなこさんを、危険と判断したら、吹き飛ばすとか、丸焼きにするとかの、緊急措置に出かねないのだ。


 我が家全体の危機と察したら、半惑星破壊反陽子爆弾を稼働させるかもしれない。(めったなことでは、ないだろうが。)


 しかし、まもるちゃんは、まるで無関心のように、ピクリともしなかったのである。


 さすがというか、なのであるが、まもるちゃんは、ぼくの身体の反応もチェックしているので、危険は感じなかったようである。


 それで、ふたりで、てをつないで、村まで降りていったのである。



 やがて、村の門まで来ると、ひなこさんが言った。


 『きょうは、しんちゃんに、神主さまが御目にかかります。』


 『えー。神主さまがあ?』


 神主さまは、村長さんと並ぶ、村の実力者である。


 しかも、妖術使いとしても知られている、かなり、恐ろしい方である。


 ヒミカさんという、年齢不詳の女性であった。


 相手の身体に軽くさわると、その人を、何にでも思うものに、自由に変えてしまえるという。王子さまにも王女さまにも、大蛇にも、恐竜にも。みみずさんにも。あの、ニーベルングの、アルベリヒさんよりも、恐ろしいのだ。


 その、神主さまに、会えというのだから、それはもう、一大事なのであった。


 大変な、大晦日になったのである!


       🦖

 


 


 


 


 

 

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