第8話 部隊編成

「本日をもって貴様らは蛆虫を「私から提案がありますの。」」


 集められた高校生たちの前に立ち、訓練の完了と反転攻勢について宣言しようとしたドミニクだったが、始まってすぐに星宮によって遮られ、言葉に詰まる。予想外のところから勢いを削がれた事もあり、やや呆然とした表情をみせていた。

 その様子を一顧だしない星宮は、よく通る声を張り上げて更に続ける。


「私、遠藤君と一緒に戦うというのは、やはり我慢できませんの。

攻勢部隊に彼を入れるというのであれば、私は外して下さいますかしら。」


「……何をふざけた事を!軍の編成に私情を挟むなど、どうかしているぞ、星宮!」


 星宮同様に声を張り上げ、反論をする遠藤。


「貴方のその自分を押し殺した迎合姿勢が、私、気に入りませんの。

 いつ不満が抑え消えれずに私に危害が加えられないとも知れない。そんな狂犬と同行など願い下げです。」


「お世話になっているソルダリア王国の方々に恩を返す、そして元の世界に戻るためなら、私情を捨てて協力すべきだろう!

 それに、今もこの国の人々は魔族や魔物の脅威に晒されて生きていいるんだ!力を与えられた俺たちが、それを救おうとしないでどうする!」


「英雄願望なら、私を巻き込まない形で満たして頂きたいものですわね。私はそんなものに微塵も興味ありませんの。

 何も分からない世界に放り出されて、訳の分からない力を手にし、どうすればよいか判断のつかない状況。皆、自分たちの身を守るので精一杯でしょう?」


「それに、貴方は私の力に頼らないと、この国を救えないとでも考えていらっしゃるのかしら?とんだ他力本願の勇者様ですこと?」


「ふざけるな!俺はそういう事を言っているのでは――」


 唖然とする周囲を他所に、言い争いを続ける星宮と遠藤。そのやりとりは、二人の容姿・声質の良さもあり、あたかも舞台演劇を鑑賞しているかのような錯覚すら覚えさせる。

 声も出せず口を動かしているドミニクにフェルナンドが駆け寄り、耳打ちをする。大きく頷きながら話を聞き終えたドミニクは、大きく息を吸い込むと、言い争う二人に負けないよう声を絞り出した。


「分かった!分かったから、いい加減静かにしろ、貴様ら!!

 今の様子を見てよく分かった!ホシミヤ、貴様を攻勢部隊から外し、別部隊に編制してやる!

 だから静かに儂の話を聞いておれ!」


 ようやく静かになった二人であったが、ドミニクは演説の続きをする気にはなれず、その後は事務的に話が続けられ、解散となった。

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