第7話 魔剣士

 異世界に転移されて10時間経過した。

私は、リエルから一週間分の宿代を借りて自分の部屋を確保した所だ。

彼女いわく 明日からギルドでお金を稼いで返せば良いとのこと


「もう寝る時間か。」


宿の窓から見える黒い空、現在で言う12時ぐらいか

そう思いベッドに横になった。


「っ!!」


窓の外は黒いままだったが、確かに何かが窓の外でこちらを見ていたような気もした。元の世界なら疑うべきだろうが、私は気にしなかった。



翌朝、リエルが教えてくれたギルドへ向かった。現在で言う5時だろうか?

左腕についてる腕時計は、11時12分を向いて今でも動いている。

この世界に来てから自分になんといった変化は見られない

本当にただ飛ばされただけのなのだろう


だが、ここの人たちと会話できるのはなぜなのか分からない、

異世界となると独自の言語があるはずだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それと一つ約束して頂戴、あなたに私の力を貸してあげる。

 その代わりの私から依頼を果たして頂戴。あなたに拒否権はもちろんないわ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


アビの言ったことが本当なら、私には彼女の力が少しはあるはずだ。

その影響だろうか?


そんなことを考えながら歩いているとあっという間に、

リエルが言ってたギルドに到着した。




扉を開けるとたくさんの冒険者たちが賑わっていた。

頭までガチガチの鎧を装備した戦士や

人ひとり分くらいのハンマーを持った少年

すでにボロボロのやつなど、いろんな姿が見られた。

私は、その奥の受付でリエルを見つけ

冒険者登録の手続きを行った。


「まずは、この書類に名前とジョブを記入して

 記入が確定したら右下の四角い枠に親指の血印を入れてください。」


そう言うと彼女は、一枚の紙を差し出した。

自分の名前は書けるがジョブになんて書けばいいかわからない

仕事なんて、レストランでのバイトしかしたことない


そんな様子を感じ取ったのかリエルは説明を始めた。


「ジョブは冒険者における自分の立場のことで主に、

  ”剣士” ”術師” ”弓師” 

 の3つの職業が一般的かつパーティーにも馴染みやすいです。

 雅義様は、遠い国から来られたとお見受けしますが、

 このような説明は必要ありませんでしたか?」


「いいや、ちょうど困っていたから助かるよ。」


リエルはちゃんと仕事をこなしているようだ、

昨日の会話より口調が丁寧だ。

にしても、剣士も術師も弓師も自分に当てはまらない


「他にもっとジョブはあったりしないか?」


「はい、他には

 ”僧侶”や”盾使い” ”罠師” ”魔物使い” ”召喚士” ”盗賊” ”魔剣士”

 などがございます。」


「もっと他には?」


それからいくつかジョブを教えてもらったが、しっくり来るものは一つもなかった。

自分を表すなら ”殺人鬼” がきっとお似合いだろう

そう悩んでいると頭の中でヤツの声がした。


(「”魔剣士”にしとけナイフはもちろんお前は魔法も使える」)


初めは警戒したが、この選択はそんなに重要ではないので、

とりあえず従ってジョブを”魔剣士”にして血印を押す。


するとその紙は、青く光り輝き

名刺サイズのカードになった。

{ 雅義・E・無所属}

カードにはそう書いてあった。


「初めは、みんな E ランクからです。たくさんの依頼をこなすことで

 ランクが上がり依頼の難易度や報酬も上がっていくのでがんばってくださいね。

 また、パーティーを組むことで依頼を達成しやすくなるので

 先に仲間を見つけたほうが楽ですよ。」


 リエルはそう言い優しく微笑んでいた。





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キラーインサイド 死神と殺人鬼 ASdream @ASdream

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