夢の始まり
「……っ痛てぇ、ちっくしょう」
強かに全身を打ちつけた痛みで目が覚め、もぞりと体を捩る。
気を失っていたのだろう。意識が鮮明になるにつれじくじくと体が熱を感じ始める。
再びごろりと転がればジャコは己が地べたに寝そべっているのだと気付く。仰向けになった視界の先は一面の白。空、あるいは霧か。
なんにせよ静かだ。
ゆっくりと体を起こしてみるが、痛む割に大きな問題はなさそうだ。ただ記憶が曖昧で、ここがどこなのか、自分がどうやって来たのかはっきりと思い出すことが出来ない。
ぼんやりとした意識のままに立ちあがれば足元の違和感に気付く。最果ての地にありえない、緑が眩しく揺れる大地。
(そうだ、俺は
奇跡の様な光景を前に、心の奥底が俄かに覚醒する。
そして一歩、踏み出す。
風に誘われるまま進めば、やがて出会い、そこが目的の場所であると知ることになるだろう。――待ち受ける真実とともに。
ジャコは覚める事のない悪夢へと、深く深くその身を投じるのだった。
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