第13話 私達のロボは本当に出来上がるの……?

 ……と私が頬に汗を垂らしているとブルー。

「しかし――これまでの実績から博士殿の腕は信用出来ますが、実際問題オリハルコンをどのようにすっぱくするおつもりなのか?」

「いやブルー……その前にまずどうやってオリハルコンを食べられるようにするのよ?」

 と私がブルーに当然の質問をしてみるものの、ブルーは困惑した表情で。

「何を言っているのですかピンク殿? オリハルコンはチョコレートなので最初から食べられるはずですが?」

「ハァァイッ!」

 変なところから声出た。で、伝説の金属ってチョコレートだったの!?

「あの『オリハルコンはロッテ』という有名なフレーズをCMなどで見た事はないのですか?」

 お口の恋人ロッテ! チョコレートはロッテ! そしてオリハルコンもロッテ?

「因みにオリハルコンはその口当たりの良さと濃厚な味わいから『女神の鼻汁はなじる』と呼ばれていますね」

 っていう補足をしてくれるグレーちゃんだけど、全然お口の恋人じゃなかった……寧ろ食べたくないまである。

「わかったかつみれ? オリハルコンは女神が鼻水を出すほど丈夫で長持ちなのだ」

 いや、基準が全然わからない。

「そのオリハルコンをうめぼしくらいすっぱくするのは一流のコックでも至難の業。エンジニアの私にとっては最難関の課題と言ってもいいだろう」

「小豆ちゃん……言うのは勝手だけどこだわるのはそこじゃないと思うんだ」


 いや、まあとりあえずそれは置いといて。

「えっと……じゃあさ、ついでに訊いておくけどアダマンチウムってなんなの?」

 私が誰となしに質問をすれば、口を開いたのはブルー。

「アダマンチウムはマヨネーズですな。ダイヤモンドよりも固いといわれている伝説のマヨ」

 どうやって食うんだよ! まあ今は食う必要ないんだけど……ってもしかしてウルヴァリンてマヨラーだった?

 というところで再びグレーちゃんの補足。

「因みにアダマンチウムはその口当たりの良さと濃厚な味わいから『天使のワキ汗』と呼ばれていますね」

 尚更食いたくないわ。ダイヤモンドより固いのに口当たり良いワケないでしょ……。


「良し。まあレッドのうめぼしはなんとかオリハルコンをすっぱくするとして――。次に決めるべきは合体した時にどの部位となるか、体のパーツを決めるべきだな」

 結局オリハルコンをどうやってすっぱくするかのブルーの質問には具体的に答える事はなく話を進める小豆ちゃんだけど――

「やはりレッドのロボと言えば戦隊ロボの顔、花形とも言える頭が主流だと思うのだが――レッド。なのでお前のロボはアホ毛担当でいいか?」

「任せておけ!」

 と力強く頷くレッドだけど……いらなくない? 戦隊ロボにアホ毛っていらなくない?

「更についでだ。他のメンバーも先に担当部位を決めてしまおう。グレー、お前はツケまつ毛でいいか?」

「了解です!」

 いや……だからいらないよね?

「ブルー。お前はホクロだ」

「承知!」

 ……。

「そして今は居ない5人目のメンバーはカサブタとして、残りの部位は全部つみれでいいな?」

「ちょ、配分おかしくない? アホ毛、ツケま、ホクロ、カサブタを4人で担当して、残り全部私って――私の負担多過ぎない?」

 私は当然の主張をしてみたものの、小豆ちゃんは首を捻り。

「何を言っているのだ? こいつらがまともにロボの操縦などするワケないだろう? となれば必然的につみれがメインで操縦しなければ敵とはまともに戦えんぞ?」

『そーだ、そーだ!』

「そーだ、そーだ」って何同調してんのよあんた達! やる気あんのっ!?

「いやまあ……小豆ちゃんの言う事もわからなくもないんだけど……」

 ってか初対面なのにこいつらの本性よく見抜いてるな小豆ちゃん。と考えつつ。

「でもそうなると5人目をカサブタにしちゃうのは早計じゃない? 5人目のメンバーもまともに操縦するタイプの人かもしれないじゃん?」

「ムッ? 確かにそうだな? となると5人目の担当は大胸筋か毛細血管辺りにしておくのがベストか?」

 いやだからロボットに筋肉とか血管っていらんでしょ? どこを目指しているのよ私達のロボは……。と、私がツッコもうか悩んでいるとレッド。

「その事だが1つ提案がある博士」

「なんだろうか?」

「博士……おかず戦隊ごはんですよの最後のメンバーになってくれないか?」

「なに? なんだ急に?」

 小豆ちゃんが訝し気な表情を浮かべるもレッドはそのまま続ける。

「いや、少し考えたんだが博士なら作った張本人だけあってアプリやバトルスーツに誰よりも精通している。そしてロボも自分で造ったとなれば操縦が下手なワケがない」

「まあ、確かに」

「となれば5人目に適しているのは言うまでもない。博士なら本名も食べ物だし色もそのまま小豆色に納まる。そう考えると博士はウチのメンバーになるために生まれてきたと言っても過言ではない。どうだろうか?」

 まあ、てゆーか正確には小豆ちゃんの方が戦隊を作ったとも言えるからメンバーになるために生まれてきたとゆーより、戦隊の方が小豆ちゃんのために生まれた……ってのが正しいんだろうけど今はそんな細かい事は置いといて――

 ――小豆ちゃんの答えは。

「うむ。まあレッドの言っている事もわからなくはない。そして私としては了承する理由はないが、断る理由もない。なので……私で良ければ仮として5人目のメンバーとなろう」


 という事でロボを造るハズのミーティングだったんだけど、急遽小豆ちゃんがおかず戦隊ごはんですよに仮入隊した事により私達は5人組に復活。スーパー戦隊ヒーロー『おかず戦隊ごはんですよ(仮)』に生まれ変わった。

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