第10話 ラスボスの話
敵の幹部の話から果麺ライダーやらプリティーで
「グレーよ。では次にラスボスの話を聞きたい。ラスボスとはどんな奴なんだ?」
というレッドの質問に答えるのは当然グレーちゃん。
「そうですね。まず見た目ですけど、見た目は40歳前後のおじさんです」
「40歳前後……それは馬の年齢でいうといくつくらいだ?」
「馬の年齢だと13歳前後ですね」
その質問いる?
……という私の疑問は正しかったのかグレーちゃんはそのままスルー気味で続ける。
「特徴としては両腕に包帯を巻いていて、あと頭にも左眼を隠すように包帯を巻いています」
よ……40歳くらいのおじさんなのにそんな厨二病丸出しの格好なんだ。
「但しそれ以外は何も着てなくてスッポンポンです」
あ〜
「まあ今のは冗談で本当はちゃんとふんどしとネクタイだけは締めています」
より変態だと思ったのは私だけ?
……だったらしくレッドは神妙な面持ちのまま。
「そのふんどしは
「越中ふんどしです。因みに色は
だからその質問いるぅ? どっちでもよくない? グレーちゃんもグレーちゃんでいらん事まで答えてるし。
「う〜む。難しいな……その格好だと一般人の中に紛れ込まれた時に見分けがつかないな?」
お前の目は節穴かレッド? お前の目には一般人もみんな変態に映っているのか? と小一時間問い詰めたい。
と、そんな節穴レッドを助けるためかグレーちゃん
「その点なら心配いりません。もしそのような人物を見かけたら近付いてみて、定期的に『左眼が疼く!』とか『腕が熱い!』とか『股間がムレる!』と言っていたらそれがラスボスです」
「なっ! ラスボスの越中ふんどしは通気性が悪いのかっ! こいつは厄介だぞっ!」
何が?
「いやあのさ、ラスボスの特徴はグレーちゃんと私でちゃんと覚えておいて、人混みの中でも見分けるようにするからもっと別の話をしない?」
というより数十メートル先にいても見つける事が可能で、かつ同じタイプの変態はそうはいないので見間違える事もないと確信している私としてはもっと有益な話がしたい。なので今の意見をぶつけてみたんだけど――
レッドは一つ頷き。
「そうだな。ではなんの話をする? 最近少々話題となっている『若者のTV離れ』について話すか? それとも『若者の肉離れ』について話すか?」
いや、肉離れって普通に怪我じゃん。若者関係ないし……
「いや、そういうんじゃなくてラスボスの外見以外の話をしようって言ってんの……例えば名前とか、あとはどんな技を使ってくるのか? とか」
「なるほどそういう事か」
とレッドはソファーに背を預けると両腕を組む。
「で? どうなんだグレー? その辺りの事はわかるのか?」
するとグレーちゃんは静かに首を左右に振り。
「すみません。実は私ラスボスは見た事がある程度でちゃんと会話をした事はないんです。なので名前も知りませんし、どんな戦闘スタイルなのかも詳しくは知りません。ただ何故私よりも弱いとされている彼がラスボスなのかその理由は知っています」
「ほう? その理由は?」
「実は全ての怪人は彼によって生み出されています。つまり彼を倒さない限り悪の怪人は増え続け、地球に平和が訪れる事はありません。だからこそ彼がラスボス、彼こそが諸悪の根源なのです!」
そーそーそー! そういう情報が欲しかったのよ!
と。ここでブルーが頻りに頷き。
「なるほど。ところで名がわからず、ずっとラスボスと呼び続けるのもアレですからここからは仮としてラスボスの事を『スク水』と呼びませんか?」
「了解だ!」
「オッケーです!」
ええっ!
「な、なんで2人とも即答なのっ! 両腕と頭に包帯巻いててネクタイとふんどししか着けてないおっさんのあだ名がスク水って変態の申し子じゃんっ!」
「いや、変態のブルジョアだ」
なんの訂正だレッドォ!
「どっちでもいいわっ!」
……と。私がヒートアップしてツッコミを入れているとそれとは対極的に冷静なグレーちゃん。
「因みにバイトからの叩き上げだった私は幹部とはいえスク水に対し忠誠心というものは持っていませんでしたが、スク水によって生み出された怪人、幹部達はみなスク水に忠誠心を持っているのでスク水に従順です。なのでこれからは迅速に怪人や幹部を排除しつつスク水を探すのが課題になるかなと思います」
これでもかってくらいスク水を連呼するなぁこの豚足エルフ。と思いつつある言葉が私の脳裏を過る。
――スク水に忠誠を誓う
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