第26話

「大東部長からご挨拶をお願いします」


幹事から言われて部長が正面にたった。背が高く、姿勢のいい姿がひときわ目立つ。自分に自信がある人は、そこに立っているだけで人をひきつける魅力がある。

会場内を見渡すと、女子社員はアイドルを見るような目つきになっていた。


「今日はこのような会を開いていただき、ありがとうございます。アメリカ生活は非常に厳しく、日々戦いでした。日本に戻り、ほっとした部分もありますが、責任も感じています。力を合わせて、この海外事業部をもり立てていきましょう。今日は本当にありがとう。乾杯!」


力強いコールが終わると、会場はすぐに盛り上がりを見せた。男性が多いなかでもひときわ目立つ容姿。中心になれる人はやっぱりオーラが違うようだ。

日頃、遠巻きに見ている女子社員たちは、ここぞとばかりに部長にアタックしていた。

暫くその場で佇んでいたけど、さすがにお腹も空いてきた。


(そうだわ、いいことを思いついた)


私はお皿に料理を盛って、ランチで利用しているあの場所へと移動することにした。


(歓迎会が会社でラッキーだったわ。あの場所に夜、行けるなんて)


絶対に夜景が綺麗だと思う。早朝と昼にしか来たことがないけれど、いつか夜の風景も見たいと思っていた。



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