第17話
海外転勤を打診された時、俺は子供のように駄々をこねて拒んだ。彼女、白石智花と離れたくなかったからだ。
それでも、しがないサラリーマンはそんなことは許されず、アメリカへ転勤となった。
そこで俺は条件を付けた。
「白石智花を異動させないこと」
公務員じゃあるまいし、課の在籍年数で異動するわけじゃないが、入社して3年が経つと、希望する部署へ異動の希望を出せることになっていた。
もし彼女が異動願いを出したとして、なんだかんだと理屈をつけて、異動を阻止出来るのは五代だけだと思っていた。
「自分だけさっさと秘書を彼女にしやがって」
「お前がのんびりしすぎだからだ。何か訳でもあるのか? それとも臆病なだけか?」
白石智花は特別だった。
周りとも関わらないし、笑うこともなく、同僚たちと話をしているところを見かけたこともない。
最初はいじめにあっているんじゃないかと気がかりだったが、そうではなかった。
白石の方が、交わることを拒んでいるようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます