第55話 新たな出会い
カチャ、カチャ、カチャ。
リィンにおすすめされたお店で、レイヴァーとリィンは食事を摂っていた。
「なるほどね、蠢く会には7人の幹部がいて、その信徒は数え切れないってところかしら。」
アーシェは片っ端からメニューを頼み、全てを平らげる勢いで食べ進める。
「そうみたいです、それ以上のことはあたしとお父さんには分かりませんでした。」
「それでも十分だぜ、ありがとうな、リィン。」
「いえいえ!」
「にしても、ここの料理美味しい!肉や魚、サラダとかもいろんな種類あるし、いくらでも食べられそうだよ!」
サリアも勢いよく食べ進める。
「まあ、本当にアーシェは全部食べかねないな。」
「何よ、何か問題ある?お金もあるし、体も早く治さないと。それには食べるのが1番じゃない?」
「まあ、それもそうか?けど、食べ過ぎたら太ーー。」
「その先を言ったら、冷凍にするわよ?」
ギリッ。
アーシェの鋭い目がクロウを捉える。
「な、なんのことだか?」
「まあまあ、アーちゃんもクロくんもケンカしないで。美味しいご飯がかわいそうだよ!」
「そうですよ!ほら、早く食べましょう!」
4人は楽しく食事を終え、そのまま宿に戻った。
そして2日後、クロウたちレイヴァーはギルドに向かった。
そこには、
「クロウさん!アーシェさん!サリアさん!これ見てください!」
ザッ。
金貨5枚の袋が。
「何これ、どうしたの?」
「あたしにもよくわからないんですが、朝ギルドの前に置いてあったみたいで。お父さんが拾ってくれてました。」
「もしかして、あの手紙の送り主からとか?」
「可能性はあるな、律儀なやつだ。」
フサッ。
袋を開くと、そこには1枚の紙が。
ありがとう。
とだけ綴られていた。
「間違いねえ、この前俺たちに手紙を送ってきたやつの仕業だな。」
「ちゃんと報酬も渡してくるあたり、悪い人ではないのかな?」
「油断は危険よ。私、クロウ、サリーのことを知ってる、その上で顔を出さずに依頼を出してくる。まるで、レイヴァーの力量を測るかのように。警戒はしておきましょう。」
「そうですね、あ、そうだ!今まで皆さんが倒してくれた、特殊個体からドロップしていたチップなんですが1つわかりましたよ!」
カチャ。
そこにはこれまで倒したモンスターから手に入れたチップが。
「そうなの!?リィンちゃんすごい!」
「えへへ、かなり特殊な形をしていますが、この中には私たち人族から発する声と同じ波長の魔法が流れてました。特徴としては、テイマーの人たちが使いこなすような感じの。」
「はっ!?それって、テイマーじゃない奴らでも家畜以外のモンスターも操れるってことになるよな?」
「そうです、けどこんな技術の塊、今の人族だけでは形に出来ないはずです。」
「ということは、裏でどこかの種族と手を組んで開発したってところかしら。」
4人は着実に推理していく。
「それが、蠢く会に属している奴らの仕業だとしたら1番納得できるな。人族だけじゃねえ、あいつらは世界中に存在してるとしたら作れてもおかしくない。」
「まだ私たちの憶測でしかないけど、可能性は高いわね。ありがとう、リィン、私たちも協力させてもらうからどうにか元凶を突き止めましょう。」
「はい!ありがとうございます!」
「おおい!レイヴァーさんたちはいるかい?」
キィーッ。
4人が話し終えると同時に、ギルドに1人の男が入ってくる。
「あ、あなたはこの前ボアホーンが暴れてた時の!」
「おお、良かった。お前さんたちに、まだ礼ができてなかったからな、何か力になれないかと思ってたら来たんじゃよ!」
「来たって、何がだ?」
「あの鍛治職人じゃよ!流浪の!」
男の商人は息を切らせながら話す。
「それって、質がいいで有名なあの職人か!?」
「そうなんじゃよ、偶然そこを歩いていたら職人の馬車が通ったんじゃ!レイヴァーには武器が必要じゃろうと思ってーー。」
「俺先行ってくる!アーシェ!サリア!追いついてこいよ!」
ダダーッ!!
クロウはもう姿が見えない速さで外に駆け出す。
「ちょっと、クロウ!」
「早いねー、もう見えないや。ありがとう、商人のおじさん!サリアたちもいくね!」
「おう、助けになれたら何よりだわい。」
「お2人ともお気をつけて、あたしはもう少し蠢く会について調べてみるので!」
「ありがとう、リィン。無理はしないでね。」
タッ、タッ、タッ。
2人もクロウを追いかける。
少し先向かったクロウは、商人を見つけようと探し回っていた。
(スンッスンッ。近くから鉱石の匂いがする、この町に今までなかった匂いだ。こっちか!)
ズザッ!
曲がり角を右に向かうと、そこには小さな屋台のような場所が。
「ここ、か?」
「ん?客か?悪いな、今から準備するからもう少し待ってもらう必要があるぞ。」
「あ、ああ。俺は全然問題ないけど、あんたが噂の鍛治師か?」
「噂?ああ、流浪人の鍛冶屋とは言われてるがそんな有名ではーー。」
バサッ。
中から、大柄のゴツい男の人が出てくる。
「おおっ、若いな。けど、良い体つきだ、その武器は……っ!?」
男はクロウの手を見た途端、目をまん丸にする。
「どうした?何か変か?」
「その指輪、お前もしかして、アレス家の生き残りか?」
「え??なんで、そんなことが分かるんだ。」
「……なるほど、これは、運命なのかもな。」
鍛冶屋の男は何を感じ、なぜ正体が分かったのか。
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