第11話
「お父様、お話があるの」
部屋に入るとそこには母の姿もあった。
「体調はどうだ?」
「えぇ、もう大丈夫です」
「話って何かしら?ダイアンの事?」
どうやら先に父と母は私の婚姻について話をしていたのだと思った。
「えぇ、私が倒れた理由でもあるんだけど王宮の侍女達が目撃していたようなの。
コラリー様が教えてくれなければ婚姻後に知って後戻りが出来なくなっていたと思うのです」
「そうねぇ。でも噂は噂だし、直接見たわけじゃないのでしょう?」
「確かに私自身見た訳ではありません。ですがっ、目撃者が一人ではないというのも怖い。ダイアンを信じたい自分もいるのです」
「それでシャロアはどうしたいんだ?」
「ダイアンに直接会って話をしてみます。それに来週は王宮舞踏会の日。
私とダイアンは出席予定なのでそこで婚約を続けるかどうかを見極めたいと思うのです」
「来週の舞踏会か。そうだな、式場や招待客の事を考えるのなら妥当だろう」
「アルモドバル子爵にはどう話す予定なのかしら?」
「今日、子爵は休みの日だったはずですから今から先触れを出して話をするつもりです。子爵も夫人も前回の事を知っているので今回は彼を庇いきれないと思います。
我が家は政略結婚ではないため高額の慰謝料は発生しないし、婚約破棄でも問題はないと思っています」
「そうは言ってもねぇ。お金の問題ではないのよ。シャロアに傷が付いてしまうのがもんだいなのよ」
「お母様、私は問題ありません。このまま騎士として騎士爵を取り、独り立ちをする予定ですから婚姻しなくても構いません」
「女の子がそんなことを言ってはいけないわ。騎士として一人でやっていくのは最後の最後よ? 諦めてはいけないわ。
シャロアをみてくれる次の方を探しておこうかしら?」
「もうっ、お父様もお母様も婚約破棄を念頭に置いていますが、まだ分からないですよ? ダイアンと会って話をしてそのまま婚姻するかもしれないのですから」
「まぁ、そうなればいいが、最悪の事も予想しておきなさい」
「はい」
父達とそこからダイアンについての話をしたわ。
コラリー様を始めとした侍女達の目撃証言や噂話。そして私が耐えきれなくなり倒れてしまった事。二人ともとても心配してくれたけれど、私自身大分気持ちの整理がついたのでもう大丈夫だと話をした。
そして話は舞踏会の話となった。
毎回舞踏会に参加しない我が家だけれど、今回は私が独身最後という事もあり、休暇届けを出してダイアンと舞踏会に参加する事になっていたの。
もちろんドレスや装飾品の準備はばっちりよ? 一応子爵の方からドレスは送っていただいたの。それに合わせた装飾品を合わせて当日参加すればいいだけ。
世の貴族は令嬢のドレスにお金が掛るので下位貴族は舞踏会やお茶会に参加する回数が少ない。
我が家は姉と私がいるけれど、二人とも騎士だったため王宮警備という名目で参加する事を避けていたせいか親孝行をしていたと思うのよね。
上位貴族の令嬢達は主催する事もあるわ。その分費用もかさむため大変よね。
あ、我が家は伯爵だから上位貴族に入っているわね、一応。まぁ、うちは例外よね、騎士一家なのだから。話が逸れてしまったわ。
「旦那様、アルモドバル子爵へ先触れを出しました」
執事がそう声を掛けてきた。
「では、お父様。行ってまいります」
「あぁ、何かあればすぐに私を呼びなさい」
私は馬車に乗り子爵家へと向かった。
こういう時は馬車よりも馬に乗った方が身軽にいけるのよね。真面目な話をするのに単騎で駆けて子爵家に乗り込むには失礼に当たるからね。
ここは令嬢としてお淑やかにいくべきよね。とはいえ、子爵家と伯爵家はそう遠い距離ではないので馬車で十分という近さなの。
あっという間に子爵邸に着いた。
「シャロア様、旦那様と奥様がお待ちです」
玄関ホールで子爵家の執事が待っていてすぐに私は子爵の執務室に案内された。
ダイアンの父はいつも王宮務めをしているので普段私も仕事場で会釈する程度にしか会う事がないの。忙しい方だから仕方がない。
執事が扉を開けると仕事をしている子爵と書類を片づけている夫人がいた。
「お久しぶりです、子爵様」
「あぁ、シャロア嬢。久しぶりだね。今日はどうしたんだい?私達に話があるんだろう?」
「シャロちゃん!いらっしゃい」
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毎日1話更新とか言っておきながら…
すみません。色々と間に合ったので更新しました!
出来ない日は1話になります。←という事でお願いします。m(._.)m
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