第193話
〜〜 東京タワーメインデッキ内ダンジョン 浅層 最初の地点から57Km先のポータル付近 〜〜
「よし、このポータルは大丈夫だな。洞窟…というか岩の窪みの中にあるポータルだから入り口は一箇所に絞られているし、何より人が皆無だ。ここならエイセンを出せる」
「うん、流石に次の階層に行くための最短ルートから外れている場所をあえて選んだ甲斐があったね。彼らもココには注目していなかったみたいだし」
俺達はあの後4つほどポータルを偵察しながら次の階層に向い進んでいたのだが、4つ全てに怪しい人が待機していて結局もち丸達に乗って長距離を休憩しながら移動する羽目になった。勿論ビックボアなどのモンスターにも襲われたが一二三が「動物性タンパク質確保!」とか言ってすぐさま殲滅して拠点に送ったりもしていた。
そんな事をしつつ俺達が4つ目のポータルの偵察をしていた最中にふと夏美が
「…あ、わかった。コレ私達の移動ルートがある程度絞られてるやつだ」
とか言ってその場で双眼鏡をしまいつつ自分が持っている地図を広げ始め、そこに俺達が集まると自分の考えを話し出した。
夏美曰く今まで見た4つのポータル全てに記者みたいな怪しい人物がいた事がどうしても気になったていたらしい。
「浅層の地図は比較的に手に入りやすいしネットにあった情報も地図と照らし合わせてもほぼ違いはない。
恐らく事前に地図を手に入れてからアタシ達の移動するルートを幾つか考えて。その中で必ず立ち寄るであろうポータルを選んで待ち伏をしているんだよ…くそ、アタシとした事がこんな考えたらすぐに分かるような簡単な事に気づかなかったなんて…」
そう言って夏美は今まで偵察したポータルを順番に指でなぞりながらそう吐き捨てるように言った。
確かにこのダンジョンの浅層は銀座駅のダンジョンとほぼ変わらない環境をしている。その為次の階層に行く為のポータルへは最短のルートを含めて幾つかある、故に立ち寄るであろうポータルの位置を事前に予測して待ち伏せをするのは確かに可能だろう。
「…ま、それさえ分かれば後は簡単だけれどね……ッ、ここだ。皆、ここから道を外して七キロ先にポータルがあるからそこに向かってもいい?多分ノーマークだと思うから人はいないはず」
夏美はそう言うと広げていた地図を見ながらある地点のポータルの位置で指を止めて俺に向かってそう言ってくる。
そして俺達は夏美の提案に賛成してこの6番目のポータルを偵察して怪しい人がいないか少し離れた位置で確認していたのだ。
そのポータルは崖のような段差がある場所で、その段差の一部に凹みがあり、その中にポータルがあるタイプの場所だった為に偵察もかなり楽にできたので、俺は一緒に確認してくれていた夏美とそう話しながら後ろに振り向いた。
「アラ…ア…ラ…情け…無い…所を見せ…ちゃった…」
「喋るなキナコ、お前が1番体力を使ったんだ。今は休むべきだ」
「そうですよキナコ。後は僕達に任せるですよ!」
そこにはうつ伏せで息を切らしているキナコを心配してかいつもより優しくなっているコク糖ともち丸がいた。
まあ、無理もない。夏美のジョブのせいでキナコは常に全身の筋肉を自分の意思とは関係なく全力で動かされていたのだ、だから他の2人より体力的にキツくなるのは間違いない。
「…あのポータルは大丈夫だからあそこで拠点を展開する、だからもうキナコは今日は休んでくれ。
そしてコク糖はそのまま拠点に戻って名無し達と一緒に狩ったモンスターの解体作業をしていてくれ、勿論前説明した通りに使わない物はそのまま畑の肥料にでもしてくれたら助かる。
もち丸はそのまま俺の援護だ、全員いいか?」
「了解…よ…」
「了解、キチンと若い奴らの指導しながらやっておくわ」
「わかったですよ。僕だけだと心配しかないけど頑張りますですよ!」
俺はうつ伏せの状態のキナコを優しく持ち上げてからそうもち丸達に言う。
そして返事を聞いて直ぐにキナコを優しく抱き抱えながら皆でポータルに移動し、俺は拠点を展開した。
「あ、皆さんお帰りなさ…って、キナコの姐さんがぐったりしてまんがな!?」
「やべーですわ、やべーですわ、エマージェンシーですわ!?」
俺が拠点を展開してすぐに近くにいた名無し達がキナコの様子を見て焦り出し、法螺貝みたいな物を吹いて大きな音を出すと、農場の方から砂煙を上げながら骨と石でできていて毛布や樽を積んだ荷台を数十匹がかりで名無し達が素早く押してくるのが見えた。
「…こう見てると、本当に意思がある生き物なんだなって思えて来た…後、何匹か吸うために確保を…」
「一二三、ステイ」
荷台が俺の前で止まると急いで何匹かが毛布やらで荷台の上に簡易ベッドを作り、残りの全員が俺からキナコを受け取るとなるべく揺らさないように協力してベッドに運んでいく。
そして、荷台のベッドに寝かしたのを確認してからコク糖が荷台に乗り移り、そのまま神社の方に走って行った。
因みに彼らを見てまた一二三が暴走しようとしたが叶に止められていた。
そして、俺達はなんとか一二三を宥めた後にエイセンがある中庭に向かって歩いて行ったのだった。
…補足だが、実は一匹の友狐が荷台が到着した時点で叶の頭によじ登っていて今も何故か肩車の状態で寝ていたりする。それを見た一二三とミリアさんが暴走しかけたのでまた少し時間がかかってしまったのだった。
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どうも、作者です。ここまで読んでいだだき、誠にありがとうございます。
早速ですみませんがこの場を使って謝罪させて下さい。
現在俺は仕事が忙しく、小説の更新とコメントの返信がかなり遅れてしまっています。その為迅速なコメントの返信が遅れてしまい申し訳ありません。
一応、時間を見て少しづつ書いた小説はでき次第上げていきますが…どうしてもコメントに返信する時間が余り無いのが原因です。
その為、まとまった時間ができ次第一気にコメントを返信させてもらいます。
本当に私情で申し訳ありません。
こんな作品ではありますが今後ともよろしくお願いします。
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