出入禁止だけど、天上に行ってみる

 さて、アマテラスの奴、入れてくれるかな? まあ、入れてくれないなら、この剣を売って一儲けすればいい。



「おい、お前はスサノオではないか! アマテラス様からここへの出入りを禁止されているはずだ。さっさと帰れ!」



 なんか、門番がわめいてるわ。めんどくせ。



「この立派な剣が目に入らぬか! これを献上しにきたんだ。通しやがれ」



 なんか、門番二人がこそこそ話始めたわ。こいつら対応に困ってるな。さっさと入れてくれよ。



「分かった。ここを通って、その剣をアマテラス様に献上しろ」



 なんか上から目線でむかつくわ。こいつ切ってやろうかな? でも、それだとまたアマテラスの奴がかんしゃく起こすわ。やめとくか。




「スサノオよ、何ゆえに天上に戻ってきた?」


「化け物を退治したところ、このような立派な剣が出てきました。これはあなたが持つにふさわしい」



 ああ、堅苦しいから早く帰りたいわ。



「ほう、確かに私が持つにふさわしい代物だ。遠慮なくいただこう」



 よし、とっとと帰ろう。



「それで、なぜこのようなものを私に持ってきたのだ?」



 うわ、めんどくさい質問だぞ。どうする? 隠し事をしてもいいことないし……。



「なあに、あなたには恩があるからな」


「恩? 私はお前をこの天上から追放したのだぞ? どこに恩があるというのだ」



 くそ、さらに質問かよ!



「正直に言う。お前の名前が役に立ったからだ」


「私の名前が……?」


「これ以上、ここに用はない。俺は帰るぜ」



 俺はもう、天上に未練はない。さっさと帰ってクシナダヒメと新居探しだ!

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