第03話 忠告、警告、進言
「牡蠣厳禁」もう牡蠣は食べないで下さい。牡蠣厳禁です。
医者からの忠告。美智留を想ってこその忠告だ。
美智留は思った。私は牡蠣に嫌われている、と。
美智留自身は牡蠣を愛している。オイスターラブ。
食中りは、食当たりとは書かない。
中る(あた・る)は命中の中。
当選とは程遠いアンラッキー・ウィニング。
「交通安全」もう外を出歩かないで下さい。交通安全です。
家族からの警告。寅次郎を想ってこその警告だ。
寅次郎は思った。俺は四輪に嫌われている、と。
寅次郎自身は四輪を何とも思っていない。
最近の四輪にはバックモニター搭載だし
前方に人影がチラついたら自動ブレーキが作動することも。
開いたドアに激突するなんざ、愚の骨頂だ。
「息災延命」もう神籤は引かないで下さい。息災延命です。
宮司からの進言。不時子を想ってこその進言だ。
不時子は思った。私は神籤に嫌われている、と。
不時子自身も神籤と関わらない人生を望んだ。
あれ以来、神籤めいたものには関わっていない。
(宝くじ? とんでもないわ! 対極でしょ!)
不時子の負の抽選パワーは、やがて何かを成さんとす。
三者三様の異なる人生があり、
三人を結びつける因果と言えば有楽町でした。
わたくしはしがない落語家であり
人間模様を高座に掛けたいのでありますが
海のミルクを牛乳代わりにする食生活を
聴いてるあなたはどう思いますか?
わたくしは背筋が凍る思いです。
あの独特な磯のかほりを、どう対処するつもりでしょうか?
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